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芝居や役者さんのこと、その他色々、見たり聞いたり、さまよったりしながらのお話。
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+ 源甲斐智栄子
大阪市出身。大阪市が主催する「シリーズお芝居探検隊」などの企画運営や、自主公演の制作協力。歌舞伎の案内コラム執筆や、催しのコーディネート。平成11年には脚本「慶長恋舞」で「阿国奨励賞」を受賞。


歌舞伎初初演「幸助餅」

皆様、あけましておめでとうございます。松竹座「壽初春大歌舞伎」はもうご覧になられましたか?http://www.shochiku.co.jp/play/index_shochikuza_0501.html初芝居を観ると一年無病息災、縁起が良いと言われています。もともと芝居は神様に奉げるものとして行われたもの。それを人々は芝生に座って観ました。芝生に居るから「芝居」。座るが、劇場を指す「座」の由来と言われています。とにかく毎年、正月は松竹座だけでなく、観たいものが多くて大変。芝居に浮かれてお正月を過ごす人も多いのではないでしょうか。南座である前進座の「髪結新三」、河竹黙阿弥作、有名な江戸世話物です。通し上演ですもの、何たってこれも行きたい。多分、行きます(笑)。http://www.shochiku.co.jp/play/minamiza/index.htmlそして初春の文楽も行きたい。これ今気付いたのですが、「戻駕色相肩」廓噺の段、これ山村若先生の振付なんですね。そう、若先生の振付と言えば、昨年暮れのドラマシティでの宝塚歌劇「天の鼓」もそうでしたし、正月のバウホール「くらわんか」もなのです。この「くらわんか」は、大阪のあの枚方の「くらわんか」です。<くらわんか餅>、長いこと食べてませんけど(笑)、その三十国の船着場を舞台に、上方落語の主人公と、近松の心中物の主人公達が繰り広げる荒唐無稽の物語なんだそうですが、聞いただけでも荒唐無稽そう。これは同じく落語を題材にした前作の「なみだ橋えがお橋」がビデオで観て面白かったんで絶対行くつもりです。http://kageki.hankyu.co.jp/revue/05/02flower/index.html宝塚っていうと、炭酸せんべいの缶々のパッケージになっている、大劇場での大きな羽をしょった豪華なスターのイメージがあると思いますが、バウホールというのはその横にあるこじんまりとした小劇場です。そこで次代のトップスターを狙う若い生徒が、主演の経験を積んだりもしていて、今も心に残る佳作を何本も生み出しています。私は昨年、12月、松竹座で松竹新喜劇を拝見しました。今、松竹座でかかっている「幸助餅」は歌舞伎狂言として初上演されるにあたり、そのもとの新喜劇を観ておきたかったのです。演出は、ここでも度々ご紹介している「山椒の会」を主宰されている米田亘さんでした。本当は米田さんのことも「先生」と呼ばないといけないのでしょうけど・・・すみませんっ。平成の世、あまり歌舞伎初演の狂言は観れる訳ではありません。まして、道頓堀五座の賑わいが遠くなった今、関西発というのはそうありません。新町廓で始まる華やかさに、上方ならではの泣かす人情、これは歌舞伎にしてもきっと良い狂言になるな、と思いました。以前、上村吉弥さんが自主公演「みよし会」でされた「銀のかんざし」も新喜劇の作品です。女、魚屋宗五郎ばりの酔っての演技、夫婦の情が好評で、あの時は新喜劇のメンバーの中、吉弥さんが歌舞伎の女形の芸をみせました。今回の「幸助餅」は中村翫雀さんが是非演りたいということで実現したのだそうですが、私はすっごく評価しますわ。ええやん、翫雀さん。これをきっかけに、今後も曽我廼家喜劇の名作が歌舞伎でも上演されていけばいいなと私は思います。その昔、人形浄瑠璃であたった作品がすぐに歌舞伎にされたように、そしてそれが文楽は文楽の、歌舞伎は歌舞伎の味わいを見せながら、影響しあい発展したように・・・。新喜劇だってしっかりした脚本を沢山持っているんですから・・・。もっと以前から取り入れられるようなことがあっても良かったんじゃないのかな?と思う位ですが、もともと曽我廼家喜劇は、歌舞伎の一番位の低い三階さんが旗揚げしたもの。それゆえ、難しいことがあったのかも知れませんねぇ。だからこそ、歌舞伎の手法が取り入れられているものも多く、歌舞伎にしたら面白そうという、よく書けた名作も数々あるのです。その曽我廼家喜劇も、もう生誕から100年が過ぎました。この作者、一堺魚人(いっかいぎょじん)というのは、曽我廼家五郎さんです。今ごろ天国で「やったった〜」と喜んではるのかな?どうなんだろう?(笑)

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