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芝居や役者さんのこと、その他色々、見たり聞いたり、さまよったりしながらのお話。
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+ 源甲斐智栄子
大阪市出身。
大阪市が主催する「シリーズお芝居探検隊」などの企画運営や、自主公演の制作協力。歌舞伎の案内コラム執筆や、催しのコーディネート。
平成11年には脚本「慶長恋舞」で「阿国奨励賞」を受賞。


浪花花形歌舞伎で、三大名作狂言を知る

やはり、1月は劇場に足を運びますよね。
私は、思わず、先月お話しました宝塚のバウホール「くらわんか」はリピートしてしまいました。
これ、キャストが替わるというのも有るのですが、予想通り、台本がかなり、面白かったです。
上方落語の何本ものネタに、「曽根崎心中」のお初やら、「恋飛脚大和往来」の梅川やらが絡む、古典芸能好きには、「うふふ」と来る、しっちゃかめっちゃかの楽しい作品でした。
「くらわんか」をリピートしたお陰で、大劇場の「ホテルステラマリス」「レビュー伝説」もまた、ついでにリピートしてしまうという具合で、宝塚歌劇団の巧さにしてやられました。なかなかエンジョイしましたよ。


もちろん、初春大歌舞伎も観ました(笑)。
「幸助餅」は、松竹新喜劇の時と同じ美術の前田剛さんでしたが、序幕の食べ物屋が変わってたり、入口の位置が違ってたり、道具が、堀川相撲場が増えて、三杯(三場)になってなりと、細かいところも違ってましたし、演出の違いも楽しめました。

何と言っても昼、夜とも、やっぱり鴈治郎さんが凄いのです。
女方さんをされている方は、また、女方さんでなくても、ある程度の年齢になられると、膝を悪くされている方というのも、多いのですが、まあ、鴈治郎さんの足腰の素晴らしいことよ。一条大蔵卿の動きには、たまげました。

「男の花道」も、最近では、厚生年金芸術ホールで、ピーターさん、草刈正雄さんが、されたものが、私が観た中では1番記憶に新しいのですが、中の劇中劇「八百屋お七」の人形振りが鴈治郎さんで見れただけで、やっぱり本家本元といいましょうか、歌舞伎役者さんならではのものを堪能しました。
音楽は、コマ歌舞伎調で、歌舞伎の小屋で、あれを聞くと、ちょっと違和感がないでもないですが、演出としては、コマ歌舞伎調の方が、お客さんは心情的に盛り上がり易いかも知れません。

その中村鴈治郎さんが、今年、暮れの京都の顔見世で、坂田藤十郎を襲名されます。
2月14日(月)まで、谷町四丁目、NHKのところ、大阪歴史博物館では、没後70年ということで、初世・中村鴈治郎展が開催されています。言うまでもなく、現・鴈治郎さんのお爺さん、「頬かむりの中に日本一の顔」といわれた近代上方歌舞伎の巨星、大阪の人にこよなく愛された初代鴈治郎です。

 これからの関西の歌舞伎の上演はと言いますと、やはり、4月大阪松竹座の花形歌舞伎に大きく期待しています。
 今年第二回目は、歌舞伎の三大名作といわれるものを、三部にわたって、一挙上演です。
 歌舞伎の三大名作は、もともと、人形浄瑠璃(文楽)から、歌舞伎に取り入れられた演目が、今に残る三大名作で、文楽の三大名作も、同じ狂言です。
 もちろん、時間的に通し狂言は無理ですが、その中でも、ポピュラーな、人気の場面の、見どり上演ですので、「もう古典芸能なんて全然観たことないねん。けど、興味は有るねん」という方には、うってつけのセレクト集だと思います。
 いきなり三大狂言の有名場面が見れるのですから・・・。
 特に、関西では最近、ケレン味の強いものの上演が多かったので、それはそれで面白いですが、こうした企画は、是非、やって欲しいものです。三大狂言と言われ、今に続いているものだけに、さすが、何度観ても面白いですもの。
 中村鴈治郎さんも出演されますが、花形と銘打たれるように、若手中心で、観劇料も手頃なので、興味のある方は是非ご覧頂けたらと思います。

 http://www.shochiku.co.jp/play/shochikuza/index.html


今年はまた、当代人気役者の、中村勘九郎さんが、東京・歌舞伎座で、三ヶ月に渡る襲名披露興行。関西での公演は、7月松竹座です。こちらも楽しみです。
http://www.shochiku.co.jp/play/kanzaburou/index.html

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