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「アプローズ」をテーマに華々しく開場した劇場飛天も経営難、馴染みの梅田コマ劇場に戻して「昔の名前で出ています」が正直集客は苦しい。演歌歌手を座長に据えての公演は常時株主優待分がチケット屋でダンピング状態。比較的集客力のあるミュージカルも「エリザベート」(01年8月)を除けばイマイチ。一路真輝「キス・ミー・ケイト」(03年8月)、鳳蘭「シンデレラ」(03年12月)、愛華みれ「チャーリー・ガール」(02年10月)、大地真央「カルメン」(01年10月)ですらキャパ1900ともなれば空席が目立つ。が、恐るべしはジャニーズ、帝劇で最年少座長(21歳)を果したタッキー(滝沢秀明)主役のミュージカル「ドリーム・ボーイ」は大好評で大阪公演も前売即完(4/30-5/23のうち、前半の5/7までは亀梨和也主演)、当日券も出ない人気。運良く先行の抽選申込み20公演中1口当たったが、チケ争奪が納得できる金のかかったステージに驚く。

ミュージカルを謳うが、人物設定や話の展開はめちゃくちゃ。どこかで見たようなツギハギがうまく融合せず、ツッコミどころは満載。それでもまったくダレないのは、恐ろしくスピーディな展開とゴージャスなステージ、メンバーのあきれるほどの躍動感にある。

伝説の元ボクサーにオマージュ捧げた映画が企画される。プロデューサーはボクサーの再婚相手でもあるナオミ、オーディションでチャンプを演じることに決まったタッキーにチャンプ自身は不満。なだめるタッキーとプロデューサーはいい雰囲気になり、いつしか男と女の関係に。俺の女を奪うならリングで決着をとのチャンプの挑戦を受けるタッキー。初め劣勢のタッキーが放ったパンチがチャンプを死に至らせる意外な展開。チャンプの栄光を守りたいナオミが試合の不正を訴え、タッキーは追われる身となり、サーカス一座にかくまわれる。チャンプに義理ある横山はタッキーを追いつめ、ナイフを向ける。が、落としたナイフを持つチャンプの息子(ナオミには義子)にぶつかり、横山の方が倒れる。自分を慕うチャンプの息子をかばい、罪を引き受けて、さらに逃げるタッキー。駆けつけた仲間がビルから落ちそうになり、救おうとしたタッキーが逆に転落する。が、天国でタッキーに会ったチャンプはタッキーを地上に帰す「息子のためにありがとう」と。

明らかに「コーラス・ライン」「天国から来たチャンピオン」「ウエスト・サイド・ストーリー」のパクリと分かるシーンが次々。ナオミや横山の行動にも腑に落ちぬ面が多々。けれども「キダム」そこのけのバンジージャンプや水中脱出のイルージョンを体当たりで演じのける若さに拍手。ボクシングのリングをレーザーで一瞬に描き出し、乱闘で殴られればフライングで飛ばされる殺陣も工夫。舞台左右の袖にハミ出す4層階のタワー上でも同時に芝居が進行するので気が抜けず、目移りしながらの観劇もタイヘン!! 客席通路も頻繁に使用され、盆回しやセリを使った装置転換の早さは梅コマ初。特筆すべきは劇場の高さを生かし切った点。「キダム」ですら中央の舞台上空を使うのに、客席真上の天井から飛び降りる危険な(!!)タッキーに客席がどよめく。短期間でバンジージャンプをこなす運動能力以上にその胆力に感動する。

ミュージカルというよりシルク・ドゥ・ソレイユやユーミン「シャングリラ」に近い。けれども、孤独な少女が顔のない大男に誘われ不思議な旅を続ける「キダム」、氷の惑星に突き刺ささるタイムマシンと難破した海賊船の冒険「シャングリラII」とそれぞれコンセプトがある。技術や表現の高いレベルに比して本作が弱いのはそこ。たとえば青年の成長や愛の普遍といったテーマさえ明確なら世界市場でのロングランも可能だろう。


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