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ここまでやる!大人のお馬鹿 西尾雅
ハッキリいってストーリーはご都合主義、教養とも無縁、ひたすら馬鹿馬鹿しい展開に笑うしかない。が、羞恥心などかなぐり捨てた役者のハイテンションには感動。それは役者全員にアテ書きする主宰者の劇団員への愛あればこそ。貪欲なまでの笑いの追求と捨て身の役者の出会いが、奇跡的な笑いの渦を巻き起こす。

マイナーな通販専門TV局員・ユウキ(川村伸彦)は提出した企画が不評、上司(宇仁菅綾)からは新企画を催促され、恋人(宮脇玲香)とも喧嘩別れと公私共に不調。いっぽう、パンクバンドのリーダー・マチルダ(向田倫子)は少年と偽っていたが実は女性、同性愛をカミングアウトしてバンドを解散。ソロになったものの鳴かず飛ばずの彼女を見かねて、恋人兼マネージャーのジュンジュン(高橋恵美子)は彼女を主役にしたSM調教の企画を大手TV局に売り込む。

SMは今や新しいファッション?カルチャー教室感覚で通う若い女性(岩本由佳理)すらいるよう。女王様になる特訓を施す教室主宰者(さかいしんご)は大儲けを狙い、これまた視聴率と利益の独占を図る大手TV局ディレクター(木下なると)と組む。偶然町でマチルダと出会ったユウキは、かつてバンドのファンだった縁から女王様のムチを通販することを思いつき、これが大ヒットとなる。が、すべてはTV局の仕組んだヤラセと知ったマチルダは傷つき、大手と弱小2つのTV局間で利権争いも始まる。

女王様に見事変身を遂げたマチルダが復活ライブを果し、全員がダンス乱舞して幕を閉じる。ユウキと恋人の関係は修復されないままだが、2人にとっていい思い出と経験だったよう。

複数のストーリーがカットバックで同時進行するおなじみの展開。テンポ良くひとりの役者が何役もこなすのも今どき。が、何よりババロワーズらしいのはふんだんに散りばめられたコント。通販CMのおもしろ商品紹介や大人びた子供(上田蜜柑)を乳母車に乗せた子連れマダム(長滝安希)などのパロディネタが大いに笑える。

ナンセンスはストーリーと関係なく突如登場する藤原タケシ(藤原タケシ)なるキャラで頂点に達する。運動会の小学生風の赤帽と体操服で現われ、役者をアブリブでイジって嵐のように去る(興が乗れば出番が長くなることも?)。素に戻るのを必死に耐える本番中の相手役が見ものだが、ただそれだけの役目を背負って毎公演に出没。ストーリーを破たんさせかねない彼を許す劇団の度量に、笑いへのこだわりがうかがえる。

シティボーイズやラーメンズのように、いくつかのコントが最後につながってひとつのストーリーらしきものを形作るといった演劇寄りのコントとは正反対、あくまで演劇のワクの中にコントを詰め込むのがババロワーズ流。全員に見せ場が用意されたアテ書きの脚本も劇団(プロデュースではなく)ならでは。それに応える役者のハイテンションお馬鹿ぶりに誰もが中毒になる。

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