いよいよ、実現へ向けてその一歩を踏み出した今、やるべきことは具体的な作業に限られつつあります。
 パブロフおよびgrafとの予算の折衝と決定、宿泊施設等の確保、チラシの作成と配布、チケットの販売方法の検討などなど、細かいものを挙げていけばキリがなさそうです。
 とはいえ、予算のことは、中川さんにすべて任せてありますし、キノコ側とgraf側への連絡もまかせてあり、ほとんど僕の出番はありません。この時点ですでに、僕の役割はほとんど、この連載でプロジェクトの進行状況を、こうしてお伝えするだけといってよく、おそらく残りの2回で(本連載は全10回です)公演のタイトルや公演場所、日時、だいたいどういったものをやるのか、とか、そういったことを書いてしまえば、あとは本番を待つだけ、です。
 いや、もう一つ、重要なことがあります。それは、このプロジェクトの制作を行なうわれわれの名称です。主催はログですが、制作は中川さんと僕を中心に、複数のメンバーで構成されるチームを組みたいと思っていて、関わってくれそうな人に声をかけているのですが、そのためにも、チームの名前が必要です。「パブロフ」に負けぬ名前を考え出さねばなりません。来月までに考えます。
 今回は600字以内に収まったので、英語バージョンで要約する必要がないのがなんだか、うれしいです。


これまでの原稿に新たに付記を二つ、書いてみました。
『福永信の「全地球人に告ぐ」』 
『福永信の「全地球人に告ぐ」』 
(一番下のほうに書き足してあります)

【追記】その0

 上で「600字以内に収まっ」て「うれしい」などと書いているが、ちょうどこの時期(2003年1月)から公演を目前にひかえて非常にドタバタしはじめ、書くことよりも実際に動くことの方が忙しくなった。
 細かい作業や打ち合わせがそのまま、「書く内容につながるかな?」と、当初は思っていたのだが、そうはならなかった。書けないことはないけれども、読んでも(また書いても)日記みたいになるだけであまりおもしろくないのである。実現するかどうか、正式には決まってなかった頃の方が書くことがあり、正式に動き始めたとたん、書くことを見つけられなくなるというのは、不思議である。
 とはいえ、<毎月2000字以上>というのがlog osaka web magazine編集室との、本連載『全地球人に告ぐ』における約束なのだった。困ったわたしはすでに掲載した本文に【追記】を書くことを思いついた。それが第1回めの【追記】その1と第5回めの【追記】その1である。


 そうやって始まった【追記】は、珍しいキノコ舞踊団+graf『こんにちは。』が2003年3月29日に無事終了した後も、写真掲載とともに、1年間の予定で続けてきた。これは【追記】のみであり、<2000字以上>という条件はなく、気ままに書くことが許されていた。
 ところで、ちょうど『こんにちは。』から1年がすぎた今、また、来月が【追記】を書く最後なので、この機会にと思ってあらためて、『全地球人に告ぐ』の全文および【追記】全文を読み返してみた。

率直にいって次のような感想をわたしはもった。

●ながい。全部読むのに5時間くらいかかった。
●今ではしない恥ずかしいと感じる言い回しが4、5ヵ所あった。
●だがなかなかよいところも4、5ヵ所あった。
伊藤千枝氏大桶真氏のインタビューはやってよかった。
●「ぼく」と書いたり、「僕」としたり、「私」としてみたり、また文頭の段落が下がってたり、下がってなかったり、バラバラである。

 以上の5点である。
 伊藤、大桶両氏の貴重なインタビューを除けば、これは別にバックナンバーとして保存し、公開する必然はないんじゃないの、という気がしないでもない。すべての【追記】を終えようとしている今、あるいはまた、【追記】を読み終わってのそれがもっとも大きな「感想」といえる。
だが、企画書の趣旨に明記したように、そして初期のプランにもあるとおり、『こんにちは。』の企画は最初から、作品がもたらす時間と空間の「その後」に目を向けている。『こんにちは。』が「出会い編」と銘打たれたのも、公演写真を少しずつ、1年かけても見るというのも、そのためだった。企画にたずさわった者すべての思いがそうさせたのだった。

 「出会い編」の次のプロジェクトはまだ始まっていない。だが、来月のこの【追記】連載の終了は、「プロジェクト」の終わりを意味しない。キノコとグラフはいずれまた出会うにちがいない。『こんにちは。』の次にいうべき言葉を、おそらく今、さがしているのだ。ゆっくりとした時間のなかで……。それはきっと未来の観客が同時にあゆむ時間でもある。

 その「未来の観客」につなげるために、4、5ヵ所の恥ずかしさを残しながらも、それを、企画実現の熱意の証拠のひとつと見て、あえて、テキストの変更をいっさい行わないかたちで、「成就編」が「成就」するまで、公開を続けることにする。


2004/3/21記


【追記】その1

『こんにちは。』の告知は、以下の6つの方法によって行われた。
(1)ホームページ
(2)チラシ
(3)E-Mail DM
(4)雑誌
(5)新聞
(6)ラジオ
(7)口こみ

(1)は珍しいキノコ舞踊団とgrafのそれぞれのホームページ、それと、まさにこの「全地球人に告ぐ」のことである。
(3)はキノコおよびgrafからのメールにての情報送付、
(4)の雑誌とは「Lmagazine」、「etc.」、「美術手帖」、「ぴあ関西版」「Hanako west」、「c/p」の6誌、
(5)は朝日新聞である。
(6)はKBSラジオである。

チラシは2種類製作された。
白黒1色コピーによる仮チラシと、オモテ4色ウラ1色の本チラシである。
当時のメモによると、仮チラシが完成したのが2003年2月6日。公演初日が3月27日であるから、残りあと49日。不吉な数字である以上に、驚くほど遅い仕上がりである。デザイン自体はほんの数日しかかかっていないからデザイナーのせいではなかった。チケット販売方法の決定など、なれぬ仕事の山また山で、ずんずん遅れてしまったのだった。なお、最初期の予定では2002年12月末にはチラシは完成予定であった。
ともかく自ら招いた困難である。ブーブーいったってもしかたない。われわれはさっそく淀屋橋駅すぐ近く、地上5階のlog osaka web magazine編集室で版下を大量にコピーした。そして、手分けして各所に配布してまわった。
これが仮チラシである。

そして、こちらが本チラシである。

イラストレーターの決定については『「こんにちは。」のそのあとで』を参照してほしいが、当然、仮チラシが遅れているわけだから本チラシの完成予定もそれにあわせてズレることになる(むろん、仮チラシの製作以前に、このような状況はある程度予想できていた。したがって仮チラシと本チラシの製作は平行してなされた)。
簡易な仕上がりの仮チラシに対し、本チラシは「本」の1字が示すように、本気の仕事である。本来はもっと時間がかかるはずであって、それを数週間で、というわけだから大変である。イラスト、デザイン、推薦文など、ものすごくタイトなスケジュールでこなしてもらった。
今、推薦文といったが、それは本チラシのウラに掲載されているものである。


本チラシが印刷所から届いたのは3月8日(土)であった。なんと公演初日まで19日しかない。驚くべき数字であり嵐のような2週間と3日だったが、各所のチラシはまたたくまになくなった。追加が必要なほど好評だったのである。ちなみに、3月11日の時点でチケット予約は102枚であった。

2003/8/17記


【追記】その2

 さて、公演をまぢかにひかえた3月11日の時点で102枚だったチケット予約枚数は、その後、17日には163枚になり、前日の26日には390枚に達した。恐るべき追い上げである。
 これらの数字は以下のようなかたちで私に伝えられた(私のほか、log編集室他に送付。送信者は「こんにちは。」制作の中川みとの)。

3/17の報告


> Date: Mon, 17 Mar 2003 02:44:54 +0900
> Subject: 3/17のご報告/みとのより
>
>
> お世話になります。
>
> さて、公演まで2週間をきりました!
> 現在のチケットの流れは
> 申し込み→返信→振込→入金の確認の後チケット発送
> というものでしたが、
> 公演間近となりましたので、本日(3/17)よりチケットの発送は中止します。
> 申し込み者に、代金の入金はして頂き、それをこちらで確認もしますが、
> 公演にいらっしゃるまでにチケットが到着しない可能性もあるので、
> チケットは発送せず、当日に受付で対応します。
>
> では以下に現状報告を。
> よろしくご確認ください。
>
> ===== 本日のチケット販売情報 ===========
>  ●ワークショップ
>  12:00〜/0名  16:00〜/6名
>  合計 6枚
>  ●公演
>  27日 16:30〜/22    20:30〜/40
>  28日 16:30〜/17    20:30〜/26
>  29日 15:00〜/25    19:00〜/33
>  合計 163枚
>
> ◎トピックス
> ・紙ものの情宣の手配は済み、今はウェブの書き込みやMLへの投稿などを
> 中心に宣伝を行っています。
>  知人友人へのメールでの一言つきの公演アナウンス、よろしくご協力下さい。
> ・WSは昼の部の申込者が21日までの時点でない場合、夕方のみの開催に
> する予定です。
> ・本番1週間前をきりましたら、電話予約を受け付けます。
>  システムなどの詳細はまた、日が近くなりましてから、ご報告します。
> ・会場構成が出来上がりつつあります。
>  T字型のステージで、グラフさん作のソファセットとベッドが使われるようです。
>  客席は、すこしづつ上げていく、ひな壇を作る予定にしています。
>
>
> ではでは。皆様お忙しいことと思いますが、
> 季節の変わり目ですし、体調に留意されてくださいね。
>
> …………………………………………∋∋
> 中川 みとの


(福永注)ちなみにチケットの現物はこれである。

 むろん、手作りである。プリンターでガーッと刷ってカッターでサーッと切った。いや、実際はあまり上手に切れなくて、だから券によってはちょっと切りすぎていたり、いびつになっているものもあると思う。
 ところで、よーく見ると、ヘンなところがあるのだけど、わかりますか?
 答えは次回。

3/25の報告
> Date: Wed, 26 Mar 2003 05:28:50 +0900
> Subject: 3/25のご報告
>
>
> お疲れさまです。
> キノコの皆さんが大阪に入り、今日は会場での音づくり、あかりづくりをしました。
> 音響さん、照明さんの人手不足のため、キノコの伊藤さんや舞台監督さんには
> ご迷惑をおかけしつつ、一応、予定通りの進行です。
>
> さて、チケットの販売状況や確認事項を下記に列挙します。
> よろしくご確認ください。
> 返信が必要なものに関しては、電話でも結構ですので、ご連絡下さい。
>
> ■予約チケット
> 3/26 5:00現在、390枚のご予約を頂いています。
> 先週の土曜日あたりから、申し込み数が急激に増え、それも日増しに増え続けています。
> 昨日は実に、一日で42枚の予約を頂きました。
> メールだけでなく、電話でのお問い合わせも多くなっています。
>
> ■残席状況
> 各回、90枚まで予約で受付け、それを越えると当日券のご案内になります。
> ただ、28日の昼の部が極端に少なく、グラフのスタッフの皆さんやご招待の方は、
> できるだけ、この日に観て頂きたいと思います。
> どなたかに「まだチケットある?」と聞かれましたら、28日の昼をお勧め下さい。
>
> ■イベント保険
> その後、どうなりましたでしょう?
> 受付スタッフへの指示書を明日中に作りますので、
> (現場に入ると作れないので)
> 明日(26日)の夜の間に、来場者の必要な情報など、お知らせ下さい。
>
> ■会場の状況
> リニューアルオープンということで、遅れているようです。
> 例えば、女子用のトイレは2ツになるハズだったのですが、まだ1ツしか
> ありません。
> バーのハイチェアも製作が間に合わないとのことです。
> 音響の機材も間に合わないとのことで、こちらで急遽、手配しました。
> また、本番日に雨の予報もありますので、傘立てなども用意してもらっています。
> グラフさんが、さくさく作ってくれたり、手配してくれたりして、
> とっても助かっています。
>
> ■27日の幕開き
> 無事に幕があいた、ということで、27日の夜の部終演後、
> gmでビール一本で乾杯だけ、したいと、キノコ制作の方と話しました。
> みなさま、参加できますようなら、是非、いらして下さい。
>
> ■朝日新聞
> 24日に予定通り、取材にきて下さり、本日、記事の確認が私にありました。
> 「創作ダンス」を「コンテンポラリーダンス」に変更をお願いしたくらいで、
> 他は、内容面ではなく情報の確認をしました。
> 26日の朝刊に写真入りで小さな記事で掲載されるそうです。
>
> ■情報誌
> 昨日発売の「ぴあ」ステージの欄に、わりと大きく扱われています。
> そのせいで、電話がよく鳴ります。
> あと、ぴあの方から、予約のメールも頂いています。
>
>
> その他、報告事項で、不足しているものがございましたら、
> メールにてお知らせください。
> よろしくお願い致します。
>
>
> …………………………………………∋∋
> 中川 みとの

(福永注)朝日新聞の取材は私が受けたのだが、「創作ダンス」というのはなんだかいいですね。私の説明が悪かったんだろうか。というか、いっそのこと変更したくないくらいだった。「コンテンポラリーダンス」ってすると、来る客も逃げそうな気がしたのは私だけだろうか。まあ「創作ダンス」で人が来るとも思えないが。
 それと、この取材では「なぜ大阪か?」という質問を三度ほど受けた。私の説明が下手だったんだろうか。たしかに、「わざわざ東京へ行くのは嫌だからである」という本当の理由は企画書にも書かなかったのだが。

2003/9/22記


【追記】その3

 まず前回(【追記】その2参照)の答えです。


 さて、公演前日の段階で390枚の予約があった。目標観客動員数は600名なので、まだまだなわけである。
しかし、チラシが刷り上がったのが約2週間前にすぎないことをかんがみると(【追記】その1参照)、くりかえすが、これは脅威的な数字である。しかも、その後も、制作用のPHSはぴいぴいとひんぱんに鳴り続けた。「予約はせずに当日きてくれるお客さんもいると考えると、600も夢ではないかもしれない……」われわれのあいだに安堵のためいきがもれたのは、初日(27日)の最初の公演が終了した段階においてであった。

 600という数字はどこからきたか?
 これは会場であるgmの、キャパシティーが100名であることによる。むろん、人数だけを考えれば、もっともっと、数は増やせるかもしれない。だが、それだと舞台がなくなってしまう。
 多くの人に入ってもらいたいが、gmはもともと客席が据えられている劇場とは異なるので(ふだんはおもにギャラリー空間として使用される)、当然、舞台そのものをひろくとれば、客席はせまくなる。
 逆に、客席をひろくとろうとすると、ダンサーたちが踊る空間がかぎられてしまう。むずかしいところである。
 そこで、伊藤さんとキノコ側制作とgraf豊嶋さんおよびlog側制作で検討に検討を重ねた結果、立ち見を含め、1公演100名強、という数字が導き出された。公演は全部で3日間6公演なので、600名というわけである。

 だが「600」という数字の理由は、もうひとつある。
 上記の理由が空間的なものだとしたら、これは経済的な理由で、この数を下回ると赤字になるのである。周知のように、「log」は大阪市のweb magazineである。そこが主催なのだから、収益は関係ないのではないか、と思われるかもしれない。あるいは、市がバックにつくのだから潤沢な予算があるのではないかというは、重大な誤解であって、というか、じつは僕も誤解していたのである。……予算についてはなかなか書きにくい。しかし、それを書かなきゃ、公演終了後もこうして続けている「追記」の意味がないのだが。

 ところで「赤字」だったのか?
 その答えは次回以降の「追記」で明らかにされるだろう。
 今回はここに、3日間全6公演の観客数を記録しておく。

 

  16時30分の回 20時30分の回
27日 107名 123名
28日 58名 121名
29日 95名 112名
【合計620名】
(注意)29日の回のみ、15時開演と20時開演。


2003/10/22記


【追記】その4

『福永信の全地球人に告ぐ』の連載が3カ月をすぎた頃わたしは、ありがちなことかもしれないが、ちょっとブルーになっていた。3カ月もすぎると、ある種の慣れとともに、ある種の不安がおそうものである。そして、そういった事態におちいったたいていの場合と同様に、わたしをこのときとらえていたのは、後から思えば非常に単純なことなのであった。
 それは、「大阪市のウェブマガジン」という特色をはたしてどのように生かせばよいのか、というものである。具体的にいうと、「大阪市」主催というかたちがふさわしいのか、あるいはそうではなく「ウェブマガジン」主催ですすめるべきなのか。予算の面で大きなちがいがあることは想像にかたくないが、実現可能性の難易度も含めて、はたして〈主催〉の位置付けをどうするのかは、企画した人間として、早急に対応すべき事態であった。
 顔色が悪かったためだろうか、わたしは話しかけられた。最初の打ち合わせの頃と比べていっそう、大学の助教授といった風貌に磨きがかかっていた。彼は言った。
「実現可能かどうかは別にして、大阪市が主催する場合と、log osaka web magazineが主催する場合とでは、企画の方向性がまったく異なってしまうだろうな。同じものにはなり得ないだろう、そう、たしかに、前者だと予算がとれるだろう。したがって、あらかじめ決めた公演のサイズを実現できるであろう。ああ、ただ公演の実現をだけ目指すのであるのなら、それも有効かもしれぬ。しかし、あなたの手からはこの企画は離れます。現段階で構想している企画書なんかもみんなボツです。さて後者の場合は、予算を得るのは困難だとは思う。だが、様々な困難があると思うが、あなたの主体性は維持されます。あなただけではない。公演には様々な人間が関係するが、それらの人間たちのクリエイティブな意見や思いが反映されうる。そもそもlog osaka web magazine自体、そういうスタンスといえるからな。手作りでやっているからな。有名どころに編集をおまかせするのではなく、あるものはあるままに、というわけだ。水たまりをかきまぜたら水がにごるね? 何もないとしか思えなかったのに、そういった変化の状態が見いだしうるわけだ。にごった状態=ネットワークだと私は言いたいな。オホン。そして、そのいわば〈かきまぜ役〉があなただと思います。いや、あなただけじゃない、ここにかかわっているみんながそうなのだ。ここはそういう場なんだ」
 彼はlog osaka web magazineを深く知る男であるが助教授ではなかった。とはいえ、ある意味で彼はわたしに教えを授け、助けたといえる。『こんにちは。』の主催はlog osaka web magazineとなった。
 予算の面ではたしかに様々な問題が生じた。年度内(3月27、28、29日)に行うことがさらに事態を困難にした。すでにlog osaka web magazineがキープしている予算を考慮しなければならないからである。
 支出には、先に必要な出費と公演終了後に発生する出費とに分けられる。

[A]『こんにちは。』において、公演前に発生した出費は以下のとおりであった。

舞台(道具)代:資材の購入、会場設営のための費用。

照明代:照明機器のレンタル代、およびそれらの運送代。

音響代:音響機器のレンタル代、およびそれらの運送代。

飲食代:滞在期間中、作品制作に関係する時間の飲食代。

交通費:東京〜新大阪の往復新幹線代。

その他:怪我したときの手当て、タクシー代、寝具のレンタルや滞在時生活必需品の購入費用。

チケット関係:DM発送料。


[B]公演終了後に発生した出費は以下のとおりであった。

ギャラ:キノコ、グラフ、照明、音響、舞台監督、デザイン、イラスト、制作、企画。

チラシ代:本チラシ(2万枚)の印刷代。

スタッフ交通費:DMの配布、および搬入・当日・搬出時の会場までの電車賃等。

記録費用:写真、ビデオ等。


 これがすべてではないが、さしあたっては上に記した[A][B]2つの支出の組み合わせが『こんにちは。』の出費合計となった。
 また収入の全体は主催のlog osaka web magazineからの補助と、チケットの売上による収入、あるいは、私物の余りの紙を使ったり、印刷機も家庭用のを使ったり、宿泊場所を工夫したりといった支出の削減、関連グッズの販売など、思いつく限りの赤字対策が行われてまかなわれた。
 はたして赤字だったのか? それとも、功を奏したのか? 後日スタッフをねぎらうためのささやかな打ち上げが設けられたほどではあった、とさしあたって言っておこう。むろん打ち上げ費用の全額をまかなうことは、残念ながら、できなかったのだが。

2004/4/20記

福永信