歌舞伎俳優として
今後のご予定としまして、この8月、竹三郎さんはワッハホールでの曾我廻家喜劇「山椒の会」に特別出演されます。これは水口先生が制作、私が制作協力でかませて頂いておりますが(笑)・・・。
水 口「これは曾我廻家五郎さん、十郎さん、十吾さん、三人の笑う人、“三笑”にかけて、小粒でもピリリと辛いで“山椒の会”としてあるんですけど、そのお芝居“へちまの花”のヒロインを竹三郎さんのお弟子で、先程話のあった上方歌舞伎塾一期だった竹雪さんが演じます」
そうなんです。そうなんです。坂東竹雪さんです。ご紹介いたします。
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坂東竹雪さん |
竹 雪「坂東竹雪でございます。どうぞ、宜しくお願いいたします」
可愛らしい竹雪さんです(笑)。ありがとうございます。
もともと五郎さん、十郎さんは歌舞伎の世界にいらした方で、今回、竹三郎さんが御出演頂くということで、“山椒の会”の主宰、演出家の米田さんもとても喜んでらっしゃいました。
また、“山椒の会”をやっていく上で、新人の発掘も心掛けていきたいという思いもありますので、今回、竹雪さんがヒロインに起用されたのは、とても意味があることなんです。
竹三郎「竹雪はね、私のところへ押しかけ弟子といいますか、切望して来た子でね、まじめで、おっとりうっかりみたいなね(笑)。性格的には気もつくし、とても可愛らしい子なんです。
現在私は、老け役だとか、中年の役を、脇でさせて頂いておりますでしょ。竹雪はね、“旦那のような役をやりたい”と申しましてね。
普通は役者になろうかと思う訳ですから、主役をしたいのは当然でして、なかなかこの若さでね、こういう気持ちになって、そして、自分から言う子はいませんからね、有難いことだと思いましたね。
このお役は三枚目ですか・・・竹雪本人は二枚目のつもりなんですけど(笑)、ちょっと可笑しみがありましてね。
はじめ、このお役を“私にどうですか?”と言われたのですが、私はもうちょっと綺麗なつもりでおりますんで(笑)ね。そして家には竹雪がおりますからね。
私がこれから、50年60年と生きられるんなら別ですけど、私がいなくなった時のことを考えるとね、今回、大きなお役を頂いて、勉強させて頂いて、また、こうしたことがきっかけで、彼がこれからそれなりに役者として生きる何かになればいいと思います・・・。
皆様どうか宜しくお願いします(笑泣)」
水 口「もう、竹三郎さんは・・・かないまへんなぁ〜。もらい泣きしそうになるわ(笑)」
6月の竹三郎さんのご公演ももちろんですが、7月は大阪松竹座“七月大歌舞伎”、8月は今お話させて頂いたワッハホールでの“山椒の会”、と、お忙しい竹三郎さんですが、今後のご活躍が益々楽しみですね。
竹三郎「・・・ありがとうございます。私達役者は、お客様がいらっしゃらなかったらね、値打ちはないんですよ。お客様があっての我々です。入場料に見合うものをお出ししていくのが役者の使命だと思うんです。
私は若い人達に、“もし、1万いくらかのご観劇料をお客様から頂いているのであるなら、例えばそれが500円なのか、いくらなのかは分からないけれど、そのいくらか分かを自分は担っているという責任と自覚を持って、瞬間でもそういうものをお観せしないといけないという気持ちで舞台に立ちなさい”・・・そう言っております。ですから今回の会も、“8000円で安かったわ〜”(笑)と、そう思って頂けるよう、勤めたいと思います。
舞台は、お客様と演じ手とのキャッチボールです。
生涯、目を閉じるまで私は歌舞伎俳優で、そうして、役者として歩んでこれたことをお客様に感謝しております。
また、普段の舞台では、こうしてお客様と身近に言葉を交わす機会もございませんので、今回、こうした機会を頂けたことをとても喜んでおります。
どうか、今後とも歌舞伎を宜しくお願いいたします。本日は本当にありがとうございました」
後記・・・笑ってばかりいてスミマセン。実際、もっと笑ってしまっておりました。
最後に、ご観覧の方から竹三郎さんに「頑張って!!」と、思わぬ声援がかかっていました。
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