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17 京都の夏の体感温度 6

キッズダンス・レポート
                               小鹿由加里(キッズダンス制作)
                                       写真:秋田祥



今回の暑い夏では、こども対象クラス「キッズダンス」が新設されました。これまで大人対象だったフェスティバルにとっては新しい試み。ダンスを志すひとたちのためだけでなく、からだをキーワードにダンスをより幅広い対象に楽しんでもらうことが狙いのひとつ。普段の遊びといえばテレビゲームばかりで、からだをつかって遊ぶことが苦手にみえるいまどきのこどもたちの実態を探る楽しみもありました。


 
 
 
今回の講師は、坂本公成、黒子さなえ、北村成美。3人の講師は、いずれもこどもたちとのワークも多い豊富な経験を持つ講師たち。対象を5歳〜10歳としたのは、まだ羞恥心や男女の意識の少ない年齢層だという予想の下。そういえば小学校高学年くらいから人の体にさわったりすることが恥ずかしくなって、触れるという機会が減ったような気がしませんか。

企画の段階では、参加を募る方法=広報が難しかった。こどもを対象としたメディアの情報が少なかったので、まちなかでのチラシの配布もこども関連の施設情報を探すことも今回新たな勉強となった。幸い、おととしから発行されているこども対象の教室やイベント情報などを掲載している情報誌『みやこ子ども土曜塾』に掲載してもらい、全校配布されたことは広報的に大きな力だった。京都芸術センターと共催で行っていることも、保護者からの信頼を得る大きな広報力になったのではないかと思う。そんなおかげもあって、ふたをあけてみると人気は上々。定員20名を超す勢いでした。

キッズダンスが「暑い夏」の他のワークショップと違うことのひとつに、こどもたちと一緒にワークショップの中に入って、進行をサポートするサポーターという存在がありました。各回に3、4名ずつ募ったところ、応募が早くにあり、驚きました。悔しくもこどもたちの申し込みよりも早くにうまってしまうほど。なかには、このサポーターだけのために埼玉からはるばるきてくれた人もいました。

キッズダンスの前のクラスが終わる頃に、おかあさんにつれられて、こどもたちがやってくる。そうすると、急に目線が下になる。それだけでも暑い夏にとっては新鮮な雰囲気でした。

今回のレポートではどんなクラスかをかいつまんでお伝えします。



第1回 4/28(金)教えるひと….坂本公成


 
  「とまれ!」そのときのポーズがそれぞれで楽しい。これがダンスの種になる。
 
● 自己紹介
みんなで輪になって、自分の名前を動き(というかポーズ)で紹介。恥ずかしがりつつも、いろんな動きがでる。ちいさな手の動きをする子もいれば、習っているバレエの動きする子、いきなり逆立ちする子。その子その子のからだの特徴がみえてくる。それらのポーズを順々に覚えてダンスにしていくのですが、人数がふえていくにつれ、覚えていく振りも複雑になり、こどもたちのテンションも急上昇。

● まねをする。
人のまねを全員でするワーク。まねをする時ははしゃいでるけど、自分がまねられる役にまわるとちょっと恥ずかしがるこどもたち。みんなから離れていたダウン症の女の子も、このワークでまねされて、巻き込まれていた。

● 目を閉じて動く
全員目を閉じて連なり、会場を飛び出して、京都芸術センターの応接室や階段を行くワークでは、半目になりながらも視覚以外でいろんなものをさぐった。

2時間という時間はけっこうハード。こどもたちの元気はつづくが、集中力は反比例していく。



第2回 4/29(土)教える人….黒子さなえ
2日目は健常者障害者とわず開催するワークショップなど幅広い対象と定期的にワークショップを開催している黒子さなえさん。


 
  顔の大きさが小さいこどもたちには、アイマスクというか顔マスクという感じ。
 
● 死んだフリ動かし
脱力しましょう、という言葉の意味は、こどもたちには難しい。そこで黒子さんが使ったのが「死んだフリをしてください」。なぜか子どもたちのテンションがあがる言葉です。その「死んだフリ」をした相手を動かす。おそるおそる動かしていく子もいれば、おもしろがって、ガンガン動かす子もあり。自ら動かない体に触れることは、なかなかにスリリングだったに違いない。

● アイマスクをする
かわいいアイマスクを用意してきた黒子さん。アイマスクをした子にマスクをしていない子どもが握手をしにいく。今握手をしたのは誰かをあてる。視覚で情報を判断することがほとんどないなかで、触感で情報を読むことになる。

● ひもの上を歩く
とても長いひもをフロアにしき、その上をつま先で歩く。つま先歩きは日常ではあまりない動作で、バランスをとらないとなかなかできない。反対側からも人がやってきて、どうやって身をかわすかを探っていた。

初日とは違い、女性の先生がきたことで、何かしらこどもたちの(特に男の子)雰囲気が変わった気がした。きっかけを与えることと、こどもたちをじっくり見ることの両方のバランスをとる黒子さんの姿があった。



第三回 4/30(日)教える人….北村成美
おなじみ、なにわのコレオグラファーしげやんこと北村成美による最終回。


 
  わずか30分程度で、ちいさな作品をつくる。みな会場をうまくつかう。不思議と動きがしげやんっぽいところがみえたりして面白い。
 
● 無言で語る
しげやんはなにもいわず、動く。ふしぎとみながまねをしていく。こどもたちはみなものすごい集中力で、静寂に包まれる。ちょっとした緊張感のあるはじまりとなりました。

● こんな動かしかた、あんな動かしかた
しげやんのいろんな動きをまねしてみる。ぐにゃぐにゃしたり、ばたばたしたり。振り付けを踊るダンスを普段やっているからか、恥ずかしがってやらない子がいる一方で、おもしろがって「これダンスー?」といいながらも全力投球でまねをする子も。先入観のあるなしが、はっきり見える。

● ダンスをつくる
いろんな動きをした後に、それらを自由にくみあわせてチームで作品をつくることになる。場所は会場内のどこをつかってもいい。サポートスタッフのほどよい先導のもと、30分という短い間につくる。出入り口からでてきたり、会場全体をつかった作品、打ち合わせどおりにいかない作品もあって、みないろいろ。「作品どうだったー?」という声に「バラバラでおもしろかった」など、子どもたちが素直な発言で返す。見るだけでなく見られることもおもしろいね、ということを自然と知ることができたのではないか。

習って楽しい踊り、つくって楽しい踊りがある、というしげやんの言葉が印象的だった。



こどもたちの保護者の方の中には、「はじめてのところにひとりで飛び込むことなんて今回がはじめて。この3日間は毎日“いきたい、いきたい”って」という声もありました。ダンスというよりはからだを使ったワークという内容が多かったのですが、こうした遊びをとおして自分のからだや相手のからだを知る、ということが将来踊ることになっても大切なことだと思います。踊らないことになっても、日常生活の中での糧になるのではないかと思います。


追記:
キッズダンス開催中、ずっとみていたサンチャゴが「来年やりたい!」といっていました。来年をお楽しみに。

(参考)サンチャゴのインタビューページはこちら。

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