日々是ダンス。踊る心と体から無節操に→をのばした読み物
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00 ダンスの身体の座標軸+
01 そこからダンス?
02 松山大学ダンス部!
03 続・松山大学ダンス部!
04 空腹の技法 その1 坂本公成
05 ダンスと会話
06 ベルリンの「今」を切り取るダンス
07 続々・松山大学ダンス部!
08 2005年、金粉ショー復活!
09 空腹の技法 その2 山下残
10 tracking dance 『散文抄』
11 京都の夏は何故アツイ?
12 京都の夏の体感温度 1
13 京都の夏の体感温度 2
14 京都の夏の体感温度 3
15 京都の夏の体感温度 4
16 京都の夏の体感温度 5
17 京都の夏の体感温度 6
18 空腹の技法 その3 黒子さなえ
19 撃っているのは誰?『現動力』
20 覗き穴から誘うBaby-Q
21 高嶺格インタビュー
22 読解できないもの その1
23 空腹の技法 その4 contact Gonzo
24 読解できないもの その2
25 身体の交差点から臨界点へ
26 京都の暑い夏2007ドキュメント Vol.1
27 京都の暑い夏2007ドキュメント Vol.2
28 京都の暑い夏2007ドキュメント Vol.3
29 小鹿由加里インタビュー
30 DB issue+”R40”review+preview
31「愛音」寺田みさこreview/DB issue
32 箱を場に変える人々のお仕事
33 高嶺格ワークショップ公演review+infos
34 アジアの現在 LIVE ARTS BANGKOK
35 金魚『沈黙とはかりあえるほどに』review
36 ものを見る場の枠組みについて+infos
37 『ノリコボレル』双子の未亡人review
2008年1月号 『たからづくし』今貂子+倚羅座
2008年2月号 『私はそそられる』BABY-Q
2008年3月号 『旅の道連れ』モノクロームサーカス
2008年4月号「踊りに行くぜvol.8 SPECIAL IN OSAKA」
2008年5月号 『ASITA』森美香代+『聖・家族』維新派
2008年6月号 京都の暑い夏2008ドキュメント
2008年7月号 Photo-Documentation BODYLOGUE
2008年8月号 なぜにアジア?
2008年9月号 GAGAワークショップレポート
2008年10月号 丹波マンガン記念館のこと他
2008年11月号 『2001年壺中の旅』レビュー他
2008年12月号 横浜トリエンナーレ
21 高嶺格インタビュー
《『アロマロア・エロゲロエ』詳解》
アリ
やっぱり枠組みを作った方が、楽に出来る。いかに引き出せる枠を作れるかが、高嶺の仕事になってくるよね。こういうシチュエーションがあるとか、こういう舞台があるとか。
学内公演は日常生活の延長系みたいなものを見せている感があって、アイホール公演は大きなテーマ? 偽の大きなテーマを設定しているみたいなのがあるやん。チラシを作らないという呼びかけとか、レコード潰すとか、アメリカの政治的な話とか。アイホール公演の方をそういう大きなものにしているっていう感じって分かる?
高嶺
わかるわかる。でもさ、学内公演でもイラク戦争のテキストはあったんやんか。あれは実際あのテキストを舞台の中で読んで世の中に訴えたいっていう気持ちは全然なくてーーまあ全然ないっていうことはないかもしれんけどーーあの種の政治的に聞こえるようなテキストが舞台の上でほんまに言葉の意味として伝わるかどうかっていうことがやりたかった。
アリ
あれは聞いている方は試されている気分にはなるよね。ここから何かが起こるんか、それが繋がるんかどうかも分からないし。聞かなあかんのか。ずっと繰り返してるから、ほとんどBGMになってくるのか。
高嶺
うんうん。それで不快感を覚えた人も多かったみたいだし。舞台上であのテキストをやると、なぜか暴力的なんよね。テキスト自体が攻撃的なわけじゃないでしょ、ただ国際情勢について喋っているだけ。なのに、劇場に足を踏み入れた瞬間に言葉の暴力の中に入っていくような不快感があるでしょ。聞かなあかんのかなとか、理解せんとあかんのかなとか、そんなことを考えさせられると思うんだけど、それがなぜなのか、どんなトーン、どれくらいのスピードで喋るとどうなるのか、みたいなことが知りたかった。
いろんな人に読んでもらって、この人が喋るとこんなふうに聞こえるなとか、「もう一回喋って」「もうちょっとゆっくり喋って」とか、いろいろやって。学内公演の時は女の子が喋っていたけど、あの子は独特のおっとり感のある子で、この子が喋ったら相当間の抜けた、変なものになるだろうなと思って読ませたら、意外とスーッと入ってくる読み方をするので、ああ、これいいなあと思って、じゃああなたこれやってくださいと。
意味としての言葉と、舞台上で音声としての言葉の、その関係を見たい、そういうものとしてあれが最初にまずあるのね。学内公演はそうなんだけど、アイホール公演の時は、“チラシを作らない”という攻撃的なチラシを作ったから、それを説明するという責任が発生した。で、作品の中で普通に僕の声として、平易な言葉で、意味をちゃんと伝えるものとして話しているシーンを作らなきゃいけなかった。「言葉」が「意味」としてちゃんと伝わらないといけないシーン。その命題が入ってくることによって、全部の構成がおのずと決まってきた感じ。学内公演との一番大きい差はそれなんよ。
アリ
でもそのわりには、その後の次回公演とかチラシに載せるような情報をプロジェクターで高速で流すところは、情報としては読みにくくて、ビジュアル重視だったと思うけど。ただ見せてるだけじゃなくて情報に埋もれていくくらい激しかったよね。
高嶺
あれはギャグやね。
アリ
あはは。その辺を読み切れない人は、わりと不快感を受けているみたいやね。もったいぶって、そんなことを話してあれだけ読みにくかったら、情報にもなってないし、みたいな。
高嶺
あっははは。まじめやね。読もうとするし(笑)。あの映像は、キャシーという友達がいて、コンピュータのことならなんでも出来る人なんだけど、彼のプログラムで作ってもらった。モーションテキストっていうのかな? あそこではつまり、言葉を補強することをやってる。
その前のチラシのシーンって、すごい具体的な話題を扱っているわけで、それを言葉で言ってるわけでしょ。伝えたいことのそのまんまを言葉にするって、ある種安易で、もっともっと本当は言いたいことがあるわけよ、言葉にもならないことが。裏にいっぱい。それで、今話したばっかりのことを、ひっくり返すってわけじゃないけど、感情的になってもう一度言い直してみてる、って感じかな。もう一度同じことを言おうとして、叫んでしまったというか。だから矛盾して見えることもあるかもしれない。映像があがってきたとき、これはもらった、と思った。つまり、このヒステリックなトーンで全体走れると。あの映像で作品のトーンが見えた感じ。
アリ
作品の中では僕は女子のヒステリーが多かったと思うんだけど。叫ぶ女っていうのが3回も4回も……。それは意識的にやってるのか、女子がヒステリックなのか(笑)。
高嶺
そうかなあ。それはそんなに意識してなかったなあ。
アリ
僕はレコードを割るみたいな、ああいうモノを無駄にしたり潰されるのとかを観ると、普段はめっちゃ怒るんだけど、今回は意外と怒らなかった。たぶん過剰だから。それと、そこに意味付けを感じない。でも、やっぱりかなり意味付けがないとやりにくいことだと思う。
高嶺
レコードを割るっていうのは、中途半端にやったら絶対にシーンとして成り立たないから、「ちゃんと割ってあげる」ということをしなくちゃいけない。で、どうやって割るかっていうことを、けっこう練習してた。
でもネットで買ったら、LP盤って今1枚10円くらいよ。僕はその10円になってることが、もう信じられへんショックやったからね。
ただそこらへん、ちょっと学生と意識の差があったかな。今20歳くらいの子ってLP盤を知らんから、「先生、どうしてあれはCDやったらダメなんですか」っていう、とんちんかんなことを言う子とかいるねん。「私だったらCD割りますよ、先生」とかって。割っとけ(笑)。デジタルだっていう時点で、なんかもう、割ったところで意味がない。いや、あるんかな? 僕にはわからんわ。
CDは家で焼けるし、焼いてもらったけどいらないと思ったら捨てたりもするやんか。LPって捨てられなかったからね、ずっと。スプレーをして拭いてからかける、みたいに大事にするものだったから。
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