日々是ダンス。踊る心と体から無節操に→をのばした読み物 |
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27 京都の暑い夏2007ドキュメント Vol.2
《京都の暑い夏 Hot Summer in Kyoto》講師インタビューVol.11
インタビュアー:メガネ [dance+]
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インゴ・ローゼンクランツ(イスラエル)ドイツのオスター・インプロ・フェスティバルのオルガナイザーを始め、教師としてもヨーロッパやイスラエル国内の主要なコンタクト・フェスティバルで指導をするなどコンタクト・インプロ界、イスラエル・ダンス界の第一線で活躍している。ダンサー、パフォーマーそして俳優もこなす彼はムーブメント、コミュニケーション、瞑想などを通したアートとしての即興の優れた指導者でもある。彼のクラスはコンタクト・インプロヴィゼーションを始め、ダンス・シアター、ライブペインティング、指圧、太極拳など幅広い体験を包含したものである。(提供:京都の暑い夏)
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+ 今回、受講者たちに伝えようとしたことは何ですか
インゴ まず分かち合うということ。次に、コンタクト・インプロヴィゼーションの基本となる考え。そして、コンタクト・インプロを含めたフリー・インプロのための様々な素材を使って、自由なムーブメントへ。短い時間でもそれは可能なんだ。みんなが楽しんでいたのを見られて良かったよ。
たぶん僕の関心事は基本的な原理にあるんだと思う。そしてもし僕がそういった特定の技術しか教えなかったとしても、みんなが自分の限界を広げることは出来るんだ。同時に、僕にとってそれよりも重要なのは、コンタクト・インプロやダンス・パフォーマンスが出会う場所はどこなのか、という感覚を得るために、基本から自分の身体を展開してゆくということ。どれくらいの重さ分を支えようか、ここで落ちるべきか、もっと繊細にいくべきか……、などなど考慮してね。
みんながこの哲学と考えを理解してくれれば……。まあだいたいみんなこの原理は理解してくれて、より自由に動けるような感覚を身につけていくよ。
+ どんなダンサーを良いダンサーだと思いますか
インゴ 僕にとっては全員が良いダンサーだよ。もしその人が自分自身のクオリティの中にいればね。ビギナーでさえ、ある動きのクオリティを持っていて、このクオリティのフレームの中に留まれば、それはとても美しいものになるんです。自分の限界とか、自分の動きの限界という意味のフレームではありませんよ。もし僕たちが自分自身の中にいれば、本当に自分自身を表現できる、ということ。
もちろん、たまには知識や経験のある人がいれば、信頼できる空間に入り込むことがもっと楽になると思うよ。特にコンタクト・インプロではね。もっと高いところへ行きたいとか、重さをもうちょっと……とか思った時に、誰かがサポートしてくれたらいいよね。何もないところに落ちていくのではないのだから。
良いダンサーとか良くないダンサーとかいったことは、僕は好きな話題じゃないな。基本的なところで、みんなそれぞれ特別なクオリティを持っている、っていうことだよ。
+ 舞台での緊張にはどう対処したらいいですか
インゴ 舞台上でも、クラスで教えていても、僕はもうあんまり緊張しないんだよね。舞台上にいることや、人の前で話すことに慣れてしまったから。でも僕も昔はよく緊張した。緊張しているっていうことを自分から告白してしまえばいいんじゃないかな。そうすれば緊張はちょっと少なくなる。
舞台で踊っている時は、僕はそれを振付の素材のひとつとして利用するね。僕は即興で踊るから、呼吸、身体のリラックス、自分への信頼、そして起こっていることを見ること。全てが素材だから。一番大事なのは、完璧にやろうとしないこと。だって完璧な人間なんてどこにもいないんだよ。僕は今でも、いつも学んでいる。教えているけど、間違いを起こすことを自分に許している。
+ 身体のためにどんなことをしていますか
インゴ できるだけリラックスしようと努力する。朝にヨガをやるのと、時々気功と太極拳をやる。あとは指圧とかを交替でやるんだ。人にしてあげて、僕もしてもらって……。身体を目覚めさせておくためにね。
そしてもちろんダンス。僕はとても小さい頃から踊り始めたんだ。いつも踊ってた。それからたくさんの マーシャルアーツをやった。これは身体を維持するのに役立ったよ。それからダンスの舞台作品や演劇作品に携わり始めて、コンタクト・インプロを知るようになったというわけ。僕はコンタクト・インプロに、ほんとに恋に落ちちゃったんだよ。
コンタクト・インプロが身体に及ぼす影響についての、なかなかいい研究があるんだ。それによれば、コンタクトをすると、身体の部分とか器官がぎゅーっと絞られたり、押されたり、持ち上げられたりする。単に触れるだけでも、身体は何らかの刺激を受けるんだって。様々な影響は全て異なる刺激をもたらすし、エネルギーの交換にもなるんだよ。
+ 京都の暑い夏のユニークだと思うところはどういうところですか
インゴ ここで一番面白いのは、いろいろな要素のコンビネーションだね。このフェスティバルでは、身体の準備のよくできたコンテンポラリー・ダンサーがすごくたくさんいる。ただインプロヴィゼーションに慣れていない。僕は普段はコンタクト・インプロや舞台作品のためのインプロヴィゼーションを教えているだけだから、異なる方向性を持つ身体を知るという点でためになったし、みんながこの3日間で上達して、より自由に動き始め、徐々にそれぞれ異なる方法で空間にアプローチするようになっていくところを見ているのが、とても幸せ。
(2007年5月13日 大阪)
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