log osaka web magazine index
Books Archivesは「声」をキーワードに現代文学への開かれたアプローチを試みるウェブ放送アーカイヴです

 

吹雪の星で家族や 友達や いろんな年齢や 職業のひととであいながら
差別や 不条理なできごとに遭遇しながら
子どもたちが 目にみえない明日を選びとっていく 物語

物が語られているとき わたしは 目を瞑って
かすかな糸を 手探りしながら 頁を繰っていく
目は 文字を追いかけているけれど
なぞっているのは 語られている物の
向こう側にある世界のありようなのだと 思う (上田假奈代)

少年チエーロが"紅い息をした"チオマと出会った日、吹雪の星は、子どもたちの大移動の日だった。百年におよぶ、もうひとつの連星への旅立ちを前に、子どもたちが経験する様々なできごと。夕方から夜にかけての時間を丁寧に綴った詩情溢れる成長の物語。

山口泉
(やまぐち・いずみ)
1955年長野県生まれ。東京藝術大学美術学部在学中の1977年に「夜よ 天使を受胎せよ」で第13回太宰治賞優秀賞、1989年「宇宙のみなもとの滝」で第1回日本ファンタジーノベル大賞優秀賞。著書に、小説では『吹雪の星の子どもたち』(径書房)、『旅する人びとの国』上巻・下巻(筑摩書房)、『悲惨鑑賞団』『オーロラ交響曲の冬』『ホテル・アウシュ ヴィッツ』『神聖家族』(いずれも河出書房新社)ほかが、エッセイでは『星屑のオペラ』(径書房)、『アジア、冬物語』(オーロラ自由アトリエ)、『ホテル物語』(NTT出版)、『「新しい中世」がやってきた!』(岩波書店)、『テレビと戦う』(日本エディタースクール出版部)、『宮澤賢治伝説/ガス室のなかの「希望」へ』(河出書房新社)ほかがある。近刊『日本レクィエム------アジア、冬物語/第2集』(オーロラ自由アトリエ)。



チエーロやチオマたちの生きる吹雪の星では、暦法や度量衡、貨幣単位などが、
皆さんの暮らす世界とは、いさささか異なっています。
そこで、皆さんの便宜のために、つぎにその一例を御紹介しておきましょう。

吹雪の星・十三月表
吹雪の星の1年は、6季・13箇月・367日からなり、1箇月はすべて28日、ただし漆黒月(正月)だけは、31日あります。
漆黒月(正月)=真冬
銀白月(一月)=真冬
蒼白月(二月)=晩冬
灰白月(三月)=晩冬
黄白月(四月)=晩冬
草緑月(五月)=春
金緑月(六月)=春
緑青月(七月)=夏
紺青月(八月)=夏
黄褐月(九月)=秋
赤褐月(十月)=秋
茶褐月(十一月)=秋
黒褐月(十二月)=初冬
吹雪の星・七曜表
銀曜日(ぎんようび)=休日。
骨曜日(ほねようび)
葉曜日(はようび)
砂曜日(すなようび)
炭曜日(すみようび)
灰曜日(はいようび)=サムナンジンさんとこの勉強会がある日
泥曜日(どろようび)=半日。放課後、級長会議のある日。

吹雪の星・度量衡表
長さ
1星(ステーロ)=10000太陽(スーノ)
1太陽=1000鳥(ビルド)
1鳥=10狼(ルーポ)
1狼=100蝶(パピリーオ)
1蝶=100蓉(チカーボ)
1蓉=10蟻(フォルミーコ)
(1蟻≒0.96mm)

重さ
1犀(リノツェーロ)=100馬(チェヴァーロ)
1馬=100鮭(サルモ)
1鮭=100燕(ヒルンド)
1燕=100蜂(アベーロ)
1蜂=100栗(ミリーオ)
(1栗≒0.0096g)

吹雪の星・貨幣単位表
1刀(グラーヴォ)=10葉(フォリーオ)
1葉=100鱗(スクヴァーモ)
1鱗=100塩(サーロ)
(1塩≒1円60銭 - 1984年1月の時点の日本円に換算して)

通貨の種類
1刀銀貨=本位貨幣
1葉銅貨=本位貨幣
5鱗白銅貨=補助貨幣
1鱗ニッケル貨=補助貨幣
1塩アルミ貨=補助貨幣