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Books Archivesは「声」をキーワードに現代文学への開かれたアプローチを試みるウェブ放送アーカイヴです

 

優れた現代文学をシンプルな声の記録として、アーカイヴすること。その行為が現代文学への開かれたアプローチとなること。
アーカイヴ音源を視覚障害者などの普段現代文学に触れる機会が少ない方達に気軽に利用してもらえる仕組みをつくってゆくこと。
シリーズプログラムをアクティブな運動体として機能させることで、新人作家発掘と育成、及び市民文化へ貢献してゆくこと。


中途失明者のR君から上田假奈代のもとへ自作の詩が届けられた。返事をだそうと思った上田は「声の手紙」を録音しようと考える。ある秋の夜、ココルームに居合わせた人全員に呼びかけ、声の手紙を綴った。
声の手紙は、シンプルで、美しく、空気感のあるMDに仕上がった。R君は何度もそれを聴いてくれたそうだ。

わたしたちがつづけてきた視覚障害者とのワークショップで育んできた声が持つ自律性とことばの持つ意識性を、もう一度コミュニケーションという命題の中心に置く試みをBooks Archivesと名づけた。

Books Archivesに上田が選んだ物語「吹雪の星の子どもたち」は作者の山口泉さんから快い返事をもらうことができた。 ファンタジーのようであり、哲学書のようでもあるこの不思議な物語を上田は、ずっと愛読していたのだという。
Books Archivesの企画書を発端として、作者の山口泉さんとの間で何度もメールのやりとりがなされた 「著者として、この連続朗読会が一つの協同作業という意味を持つことを願っています」と書かれた山口泉さんからのことばは、もう一度、この企画の意味を問いなおすきっかけとなった。

情報過多や出版業界の不況もあり、現代文学は閉塞感のなかにある。このBooks Archivesが若手作家の作品を声に記録することによって、現代文学への風穴となることを願い、若手作家の作品を募集することにした。

Books Archivesはささやかであるが、つづけるには根気と労力がいる企画だ。
現代に語り部がいるとしたら、やはり、生きるためのことばを探していくのだろう。


上田假奈代(闘う詩人・詩業家)
1969年奈良県生まれ
3歳より詩作、17歳から朗読をはじめる。各種イベント企画制作、ワークショップを手がけ、2000年から「トイレ連込み朗読」プロジェクト開始。視覚障害者や高齢者、親子、中高生向けの詩のワークショップに取り組む。2004年から現代文学との共同作業「BOOKS ARCHIVES」(朗読録音アーカイブス)を行なう。
異ジャンルとのコラボレーションやぽえ茶会シリーズ、寝っころが詩朗読など、独自のリーディングスタイルを展開。朗読CD「あなたの上にも同じ空が」、「詠唱・日本国憲法」などを発表。
大阪フェスティバルゲートのcocoroom・こえとことばとこころの部屋(NPO法人申請中)代表、APM代表
http://www.kanayo-net.com