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普段、能楽(能と狂言)の解説をしている私ですが、自分が舞台を観るときに一番大切にしているものは、実は、解説に書いてあるような知識ではありません。無論、知識が必要ないと言っているのではありません。ただ、必要最低限の材料があれば、あとは、自分がどれだけ多くの美しいものを見てきたか、自然の移ろいを感じてきたか、日ごろ何を考えているか、そして、心の奥にどんな想いを沈めてきたか…、そういう身体の中に蓄積された経験が、アンテナになってくれるのです。それらが演者の持っているものと共鳴したときに、至福の体験ができるのでしょう。これは、能や狂言に限らず、舞台芸術に限らず、美術でもなんでも、私が何かに接するときの基本姿勢です(もっとも、いちいち意識はしていませんが)。
このページがどんなものになるのか、私にもまだわかりませんが、ここを訪れて下さる皆様と、新しい出会いを共有することができましたら、たいへん嬉しく存じます。

ライター
筑波大学芸術専門学群美術専攻彫塑コース卒。大槻文藏事務所、(財)大槻清韻会能楽堂企画室を経て、現在、新聞・雑誌等に、主に能楽に関する記事を執筆。文化庁インターンシップ・アートマネジメント平成12年度研修生。

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