さらに次の年の99年、ドイツのアーティストグループ、ヴォッヘンクラウズールを招いて開催された「ヴォッヘンクラウズール:アートによる提案と実践WochenKlausur:
Art and Concrete Intervention」に目を向けてみよう。
「街にアートを設置する」プロジェクトであるこれまでのMCPとは違って、作品制作/設置を目的としないこのプロジェクトは、ドイツと日本のアーティストによって構成されたメンバーは、福岡の人々と話し合い、学校制度にまつわる様々な問題について考え、実際に小学校の授業で新聞の記事を書く、商店街の宣伝を制作するなどの実際的かつ創造的なプログラムを実施した。つまりここにおいては、ついに美術作品としての視覚的表象は問題とされず、むしろ受け手である社会との関係を築くことが、アートとして提示された。