環境/個の表現
「育てる」「つなぐ」「場をつくる」の3つの言葉に表されるミーツの活動は、誰もが、一人でも多くの人とコミュニケーションを持つための場をつくること、そうして風通しのよい街−本当の意味で誰に対しても「開かれた」すなわち、チャンスがある街をつくることといえる。実際、岡山には新しく文化や福祉を手がけるNPO、Tabula
Rasaが生まれようとしている。人と街は、着実に育っているといえるだろう。
小石原さんは、「自分たちはアートのために活動をしているわけではない」と言い切っていたが、逆に彼らは、アートを生み出す人と環境が自立することに、力を注いでいる。彼らは、アートによるコミュニケーションの本質−多様性、変化を受け入れること−を信じているし、これを、多くの人が関わって様々な事象を考えるための道具として、使いこなすことを実践しているのである。
表現者の側に立ち戻ってみれば、個々が担うアートによるコミュニケーションの形は多様であるが、各々がその多様さの中で、自分だけの表現を見出すことによってこそ、このように豊かに耕された環境の中で優れた実りをもたらすことができるのではないだろうか。言い換えるならば、コミュニケーションを、仲間内の馴れ合いとするか、自立した関係への手がかりとするかは、私たち自身にかかっているともいえるだろう。
(徳山 由香 取材:23/12/03)
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