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60歳位に芸の完成があるといわれているような歌舞伎ですから、歌舞伎ファンって、自然に花形の役者さんには、その年齢や過去のものに対してどうかという評価をしていると思うんですね。
  将来に期待できるものを見せて頂けたら嬉しいというか…。
 今回の公演は、上方歌舞伎を上方ゆかりの俳優で上方の地に定着させたい、それを若手花形によって次代に繋ぎたいということが上演のコンセプトかと思うのですが…。

僕は今まで特に上方歌舞伎、江戸歌舞伎と意識した訳でなく、よく分からないのですが、とにかくドラマが好きなんですね。
上方歌舞伎はドラマですものね。だから上方歌舞伎という人間のドラマがある芝居は好きですね。
江戸歌舞伎にはアンサンブルのババーンとした美しさを感じますが…。

私が個人的にここ数年感じていることですが、関西のお客さんがこの頃こうしたドラマを味わったり楽しんだりする人が少なくなっている気がして寂しく思います。
 取りあえず取っ付き易いケレン味のあるものや、ババーンとした派手なものが支持され、心の機微が表現されたドラマが鑑賞されにくくなったというか…。
 上方歌舞伎は特に型の継承だけでは成り立ち得ない部分が大きいと思いますし、だからこそ何とも言えない奥深い味わいがあると思うので、この面白さを感じて下さる方が増えて欲しいです。上方歌舞伎が大阪の劇場で恒例となって発信され、まず関西の人に広く愛されて欲しいですね。
 言葉はどうですか?もちろん義太夫と関西の言葉は違いますが、お父様、先代の亀鶴さんは関西の言葉で話してらっしゃったんですか?

いえ、母が東京の人のせいか父は家では東京の言葉でしたね。
僕は子供時代も子役で1回出たきりですからね。
でも芝居が好きでミュージカルとか映画とか色々なものは観ていたんですよ。
それでもその結果「歌舞伎って凄い!」って思って…それでこの道に進んだのです。
歌舞伎ってやっぱり凄いですよ。

私が舞台を拝見してて好きな演者さんというのはグッーとした集中力のある方ですね。 
 技術はもちろん必要なんですけど魂が集結しているというか、入り込んではる舞台にはこちらも自然に入り込めて楽しいです。
 亀鶴さんは踊りが良いことや古風な感じも魅力ですが、何よりそうした集中力を感じるんですね。

僕はとにかく器用じゃないんですね。これと思うと入り込んじゃう。
だから連続ドラマとかも見ないんです。没頭するとその世界に入り込んでしまうから、1週間1週間で見るのじゃなくて、後からビデオを借りたりして一挙に見るんですよ。
なので本を読むのも好きじゃないんですよ。読むなら一挙に読みたいんですけど、明日の予定とか考えるとそんなことも出来ませんし…。
競馬が好きなんで映画にもなった「シー・ビスケット」の本は読みたかったんですけど、少しづつ読むのは気持ちが続かないのでやっぱりやめました。

(笑)以前、前の名前、芳彦さん時代にインタビューをさせて頂いたことがあって、私はその時も役者さんらしい個性を亀鶴さんに感じたのですが、今、お幾つなられました?

31です。
僕も富十郎の叔父のところからでて一人だちすることになりまして、いよいよしっかりしないといけないんですが…。

そろそろご結婚のことも考えていらっしゃるのでしょうか?

いやあ、それはまだないです。
失恋話ならいくらでもありますが…(笑)。

歌舞伎の役者さんは奥様も一緒になって、「家」とか「名前」を大切に盛り立ててらっしゃるっていうイメージがあるので、独立されるという言葉にそうした連想もしてしまうのですが。

僕はまだ全然ですね。
1人の方が楽っていうか、優しくしたり、気を使ってあげないといけない人が出来るのは大変じゃないですか。

優しくしてもらえたり、気を使ってもらえたりもしますよ(笑)。
でも好きな人がいるとしっかりアプローチはされるんでしょ?

いやあ、恥ずかしくって告白なんて出来ませんよ。

えっ、じゃあ、亀鶴さんの場合は、亀鶴さんが「いいなあ」と思っている人が、相手から告白してくれないと恋愛が成立しないんですか(笑)?
 亀鶴さんを見ていると、子供の頃によくある、好きな子にわざと意地悪してアピールするみたいな…なんかそんな感じに勝手に想像してしまったりするのですが…。

何かしら自己アピールはする(笑)って感じですか?
本当に今は自分自身がこれからっていう所で考えられないんですよね。
今も東京以外の舞台が続いたので家も4ヶ月帰ってないんですよ。
ホテルの方がかえって楽だったりしますけど。

食事も外食で仕方ないし、お掃除も毎日して頂けますものね(笑)。
私の友人で東京の人なんですけど、亀鶴さんがどんな与兵衛をされるのかが観てみたいから4月に大阪に行くね、って人がいますよ。

そうですか。それは嬉しいですね。
鴈治郎の叔父さんをはじめ、関係者が熱意をもってこの公演に取り組んでいます。
是非ともこの公演が大阪で定着して欲しいですし、させないといけないと思うんですね。
本当に多くの方にご覧頂きたいです。


★ 中村亀鶴さんインタビュー:http://www.log-osaka.jp/movement/vol.4/genkai/gen_vol4.html
★ 中村亀鶴さんホームページ:http://www2.ocn.ne.jp/~jupiter7/newpage2.htm