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 このコーナーでは、今後各アーティストや音楽を取り巻く様々な方々にインタビューや執筆をお願いして、大阪の音楽界の現状把握や今後の展望を模索していく予定です。

 まずは、大阪AISの成立に至った経緯を含めて、このプロジェクトの目指しているものを少しお伝えできればと思っています。

 演奏家にとって一番必要なモノは一体何でしょう?若い演奏家を支援する事業を企画するにあたって私たちは、方法論からではなく一番根っこになる部分を煮詰めて考えるというということを開始しました。私たちの出した答えはとてもシンプルで、「お客さん=聴衆」でした。それも、一度きりのお客さんではなく、その演奏家を継続して聴きに来てくれるお客さん(=ファン)です。
 これを仮に結論とすると、私たちが出来ることは自ずと導かれてきます。継続して聴きに来てくれるお客さんを作るためにアーティストが最低限しなければいけないことは、継続して演奏会を開催することです。もちろんその演奏会のクォリティが高くなければ、リピーターになってくれる方がいないのは言うまでもないことですが・・・

 今回この大阪AISの対象者を選考するオーディションには私たちの予想を大きく上回る240超のソリスト・アンサンブルの応募がありました。録音審査・オーディションを経て最終的に4人のソリストと1組のアンサンブルが対象者となりました。倍率だけを見てもとても厳しいオーディションであったのは間違いないです。5人の先生方による選考委員会も、白熱した長時間にわたる議論が続き、内容もとてもシビアな審査となりました。
 しかしながら、選考委員の先生方も、そして私たちも実はある1点において、甘いところがあるのです。それは「支援の対象者を選んでいる」ということです。もちろん適当な人がいなければ対象者無しという可能性もありましたが、基本的には「支援すべき人を見つける」という前提に立っているのです。
 こうして対象者が決まったわけですが、ここから先はそういうわけにはいきません。お客さんは、興味をもてる対象がなければ、誰も選ぶ必要がないのです。一番厳しい審査員は聴衆です。舞台芸術に限らず様々な余暇の過ごし方の選択肢のある今の時代に、自分の演奏に興味関心を持ってもらい続けるというというのは、並大抵の労力ではありません。
 その演奏家の努力と、それを温かく見まもる一方でシビアに評価し続ける聴衆。「音楽家と聴衆の新しい関係」の目指すところはそんな関係です。

次回は今回の対象アーティストへのインタビューを予定しています。

(井内純一郎)

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