アーティストからのメッセージ〜Part.5
リコーダー/奥田直美&チェンバロ/三橋桜子
今年度選ばれたアーティストから皆さんへのメッセージをお届けします。
Part.5は今回唯一アンサンブルで選ばれた、リコーダーの奥田直美さんと、チェンバロの三橋桜子さんです。
お話ししてみると、全く個性の違うお2人ですが、いざ演奏となるとぴったりと息のあったアンサンブルを聴かせてくれます。
クラシックファンの中ではすでに一ジャンルとして確立されている「古楽」ですが、クラシックになじみのない方には、いまひとつぴんと来ないかも知れません。しかし、お2人からのメッセージにもあるようにとても魅力のあるジャンルです。今回の演奏会をきっかけにして、多くの方にその魅力に触れていただければ、と願っています。
「古楽」をご存じでしょうか?
文字どおり「古い音楽」と考えてしまいがちですが、それならば21世紀になった今、20世紀の音楽も「古い音楽」になってしまいます。事実「古楽」と呼ばれる中世・ルネサンス、バロック音楽は今から250年以上も前の「古い音楽」です。しかし、ただ単なる「古い」といったものではなく、誰もが聴きたことがある<グリーンスリーヴス>のような親しみ深い曲も、実は「古楽」の一種なのです。それでも聴き馴れない「古い音楽」と感じますか?
リコーダーとチェンバロは、そんな「古い」時代に使われていた代表的な楽器ですが、私達の演奏を通じて「古楽」という「新鮮さ」を楽しんでいただければと思っています。
奥田直美
リコーダーとチェンバロは、現代では馴染みの薄い楽器と言われていますが、ルネッサンス、バロック時代には人々に愛され、音楽界の中心を成した楽器でした。チェンバロは時代とともに衰退し、ピアノが頭角を表してくるのと同時に、忘れ去られていきました。しかし近年は、チェンバロ独自の音の美しさとその素晴らしいレパートリーが注目されています。
また教材楽器としてのイメージが強すぎるリコーダーは、実は大変古い歴史を持つ楽器です。一番身近な存在であるこの楽器の本来の姿がしっかりと把握されていないことは、残念なことだと思います。
私達2人は、素朴で人間的なリコーダーとチェンバロの音楽に魅力を感じ、いつも新鮮な驚きと喜びを持って演奏しています。
刺激的、時には機械的な現代の音に耳を慣らされてきた人々が、私達の演奏を通して、古楽、古楽器の持つ魅力を発見するきっかけを作って下されば、嬉しく思います。
三橋桜子
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