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「4回のリサイタルを終えて・萬谷衣里」

はじめに、私の演奏会にご来聴下さいました皆様、本当にありがとうございました。多くのご声援に支えられ、無事に公演を終えることができ、感謝致しております。

リサイタルを終えたいま、これまでの数ヶ月間が、考えていたよりもずっと充実し、密度の濃いものだったということに気が付きました。月並みな表現ですが、かけがえのない、良い経験ができたと思っています。
というのも、このように自分ひとりの舞台を一度だけでなく、四度も与えて頂けるというのは、望んでいても叶う機会はそうそうありません。
特に大きなコンクールで認められたわけではない私にとって、そういう競争の場を飛ばして、大勢の聴衆の皆様の前に立つということは、特別な意味を持っていたのです。

二種類のプログラムを準備するというのは一見困難なようでしたが、『必ず出来る!』という(根拠のない)確信をもとに、ひたすら練習を重ねてきました。というと聞こえがいいですが、実は元来怠け者で楽観的思考の持ち主なので、『やるしかないやろ』というのが本当のところだったと思います。
今回、まがりなりにも一人のピアニストとして音楽の道のスタートラインに立てたことは、これから先にむけて何らかの指標になるに違いない、と考えています。

『どんな演奏家、音楽家になりたいか』とよく訊かれますが、私の目指すのは『本物の』という形容詞がつくもの全般なのです。
それは、私が音楽に偏った人間ではあるけれども同時に『ひと』であり、周りを取り囲むものは必ずしも音楽のみではないということからきています。なりたいのは勿論、良い音楽家ですが、どこに答えを求めればいいのか曖昧なこの世界では、ひとつでも自分の中に確固たるものを持っていることが重要なのではないでしょうか。そうして様々なものを栄養分に吸収し、『本物』へ近づくための努力を、自分は惜しんではいけないと思います。そして、その過程を見守って頂ける機会として、これからも演奏会の場を持つことができれば本望です。
どうぞ今後ともよろしくお願い申し上げます。

2004年4月吉日 萬谷衣里

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