日々是ダンス。踊る心と体から無節操に→をのばした読み物 |
|
|
文・写真
+ dance+編集委員会
|
dance+とは
ダンスを楽しむ研究サークル。情報編集のほか、ドキュメント、ビデオ鑑賞会などをとおして、ダンスと地域、ダンスと生活をつなぎます。
- 古後奈緒子(メガネ)
窓口担当。守備範囲は前後100年ほど。
- 森本万紀子
エンタメ担当。
- 森本アリ
音楽家/ガラス職人/グラフィックデザイナー/DJ/家具職人/映画助監督/大家/自治会会長/NPOスタッフなど。
- 神澤真理 NEW!
日常の中にある「おもしろそう」を発掘中。
記事へのご意見、ご感想、上記活動への参加に関心をお持ちの方はこちらへ→ danceplus@gmail.com
|
|
|
《京都の暑い夏 Hot Summer in Kyoto》講師インタビュー Vol.1
翻訳&インタビュー構成:森本万紀子 [dance+]
|
| | |
サンチャゴ・センペレ (フランス/パリ)
創作を通じて自身の魂と身体の起源を深く探る旅を続ける彼の作品は、古さと新しさ、西洋と東洋、身体と精神に対する深い洞察に満ちている。フラメンコ、インド舞踊、能なども学ぶ。ボディワークへの造詣も深く、ヨガの他、アレクサンダー・テクニークの講師としても多くの指導を行い、身体のあり方を見つめる彼の視線は多くの人に支持を受けている。'92年バニョレ国際振付家コンクールにて受賞。'94年、Villa九条山に滞在。以降、暑い夏事務局の求めに応じて多数来日。(提供:京都の暑い夏/photo: office kuppa)
+ 今回のワークショップで面白かったことは何ですか?
サンチャゴ 今回に限らないけど、プロのダンサーと、あまり大きなバックグラウンドを持たないアマチュアのダンサーが混じってるところだね。両方のテクニック的な違いも面白い。それは誰もが同じじゃないということだから、ぼくにとってはいいことなんだ。講師や振付家としては複雑で難しいことでもあるんだけど。
+ どんなダンサーを良いダンサーと思いますか?
サンチャゴ 身体とフィーリング、人生から学び得てきた感覚の全てを使って、選択することの出来る人。観客から何らかの感覚や思考を呼び覚ます、というか、観客の身体と心を呼び覚ますやり方を見つけることの出来る人。誰もが内面にダンサーな部分を持ってる。それを呼び覚ますんだ。
言葉を替えると、自分自身の身体、心、人生を知っていて、自分自身と距離がとれる人。それと同時に、身体と人生、生命の内部へ深く深く探検に行ける人。そして人間というものを理解出来る人。身体と生命の哲学的な部分かな。
ダンサーというのはそういうものだけど、振付家となると、多少はそれと同じところもあるけど、人それぞれから何かを引き出す方法を知っている人がいい。あらゆる人たちの身体や心の中に隠されている宝物を引き出して、引っ張り上げるにはどうすればいいのか、知っている人。
+ 舞台での緊張をどう利用したらいいですか?
サンチャゴ 僕は今年52歳になるんだけど、まだ少し緊張するね。例えば初めて会う人との大事なミーティングがあって、その人は自分にとって重要なんだけど、会ってみてどうなるのか全然分からない時みたいな感じ。いつも少しのリスクが伴う。
そういう時、僕の場合はお風呂に入る(笑)。お風呂は日本の優れた文化だよ。僕は大好き。じっくり休むように心がけるね。あと毎日瞑想もしてる。朝起きて部屋で1時間くらい瞑想をして、それから自転車で出掛ける。今宿泊してるところからここまでの時間は気持ちいいよ。そして着く頃には準備が出来てる。ちょっと休んで、まずヨガをする。
+ 自分の身体管理はどうしていますか。
サンチャゴ 毎日の瞑想とヨガ。そしていつもやってる基本的なエクササイズがある。それを終えると踊る準備は完了。僕はそれを朝早くからやるんだ。
あとは常に身体が硬くならないように気をつけてる。緊張しないように。日本ではお風呂に入るけど、フランスではサウナに行くんだ。ハマンって言うんだけど、パリに素敵なのがあるんだよ。それから適切に食べるように心がけてる。たまにはお肉も食べるけど、毎日じゃない。出来るだけオーガニック・フードを食べるし。
煙草を吸うのは1ヶ月に2〜3回かな。頑固になりすぎるのもよくないから、たまに習慣を変えるのもいいよ。時々少しワインを飲む。ビールとか日本酒とか。でもこれも毎日じゃない。時々酔っぱらったりもするよ(笑)。それも3ヶ月にいっぺんくらいかな。だって楽しいじゃない。
コンサートにもよく行く。音楽が好きだし、書くのも好き。詩が好き。散歩が好き。自然が好き。こういう全てのことが、ヨガで言う‘プラナ’なんだ。そこからエネルギーを得るもののこと。生命のエネルギー。セックスもするよ(笑)。大事なことだよ!
+ 京都の暑い夏とかかわりをもったきっかけは?
サンチャゴ 坂本サンと裕子サンがこのフェスティバルを立ち上げた時、僕も関わっていたんだ。モノクローム・サーカスが出来る以前だった。その頃から僕は全ての人にオープンなものにしたかったし、皆にチャンスを与えようとした。僕は人々が自分自身の身体と道(way)を呼び覚ますことがとても大事だと思うんだ。人は皆クリエイティブでなくちゃいけない。そうじゃなかったら人生はそんなに面白くないよ。皆が自分の身体や心、そして他の人の身体や心をより意識できるようになれば、世界はもっと良くなると思う。
そして最初から若いダンサーにも年老いたダンサーにも刺激を与えたかった。僕は基本的に老いも若きも、全ての人たちが混ぜこぜになってるのが好きなんだ。
+ 京都の暑い夏のユニークだと思うところはどういうところですか?
サンチャゴ シンプルなところが好きだな。優しくて、とてもオープン・マインド。これが非常にユニークなところだよ。商業的ではないし。このフェスティバルが、そういったダンス・スピリットの中にあり続ける限り、僕はここに来る。そうでなかったら来ないよ。
とてもフレンドリーで人間的。だから「暑い夏」なんだよ。ホット、ホット(笑)。全てに開かれているから。それはとても良いこと。それに今年キッズ・クラスをスタートさせたでしょ。これは素敵なことだね。1クラス見たけど、すごく面白かった。僕も担当したかったんだけど、今年はちょっとオーガナイズに間に合わなかった。来年はキッズ・クラスをやりたいなあ。
(2006年5月5日 京都)
|
|
|
|