日々是ダンス。踊る心と体から無節操に→をのばした読み物 |
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27 京都の暑い夏2007ドキュメント Vol.2
《京都の暑い夏 Hot Summer in Kyoto》講師インタビューVol.10
インタビュアー:メガネ [dance+]
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エマニュエル・ユイン (フランス/アンジェ)フランス・アンジェ国立振付センター(CNDC)の芸術監督。造形作家や音楽家など異なった分野のアーティストとの共同作業を精力的に行うなど、鋭い批評的まなざしでダンスの再構築を進める彼女は、ドミニク・バグエ、トリシャ・ブラウンなど多くの著名な振付家の下で踊り、エルヴェ・ロブ、オディール・デュボックなどと共同作業を行う。'94年にはヴィラ・メディチ海外研究奨学金を得てヴェトナムで創作。ボルドー美術館、ヴェラスケス美術館など美術館でのパフォーマンス企画も多数。'01年にはフランス政府派遣アーティストとして京都に滞在、京都芸術センター「第1回クリエイターズ・ミーティング」に参加。(提供;京都の暑い夏/Photo: Juliette Butler)
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+ 京都の暑い夏とかかわりをもったきっかけは?
エマニュエル 2001年にヴィラ九条山に招かれた時に(坂本)公成と(森)裕子に会って、公成がその後私を第1回目の京都クリエイターズ・ミーティングに招いてくれたのね。そして次に私が彼をフランスに招いた——私もフランスでラボみたいなものをオーガナイズしているから。その時期は2人とも忙しくて来られなかったんだけど、クリエイターズ・ミーティングに参加していた高嶺格を招いたり、といった経緯がありました。
+ 京都の暑い夏のユニークだと思うところはどういうところですか
エマニュエル このフェスティバルの何が好きかって、裕子と公成をはじめとする“アーティスト”によってオーガナイズされているところよ。それが特別な雰囲気を醸し出している。それに、ダンサーが他のダンサーと分かち合うためのフェスティバルでもある。だから日本やここ京都におけるダンスの状況をとてもよく知ることが出来るのね。アーティストじゃない人たちにオーガナイズを任せるのではなくて、アーティストがイニシアチブをとって、自分たちが食べるものを選び、自分たちの関係を築いていく、っていうのが私は好きなの。それって実際、このフェスティバルのスピリットにとても近いでしょ。
+ 今回のワークショップで面白かったことは何ですか
エマニュエル ダンサーたちの食欲にも似た欲求(appetite)の強さですね。外国や日本の他の地域からやってくるダンサーたちや、ダンスに出会うために集まるダンサーたちのどん欲さ(appetite)のようなものを強く感じます。私はダンサーたちが常に何か新しいものを見つけたいと欲する、その欲望(appetite)が好きなの。
例えば、私のワークショップでは(ワークの後に感想を)フィードバックしてもらうことにしているんだけど、みんなよく耳を澄ませて考えてはいても、活発に意見を述べるようになるにはちょっと時間がかかるのよね。普段ただ言われた通りに踊っている人たちは、レッスン中に話すということに慣れていないから。でも私は、そういった決まった振付をただ踊るだけのクラスはあまり好きじゃなくて……。私には興味のないことなのよね。だから私のクラスでは、人として考え、積極的に参加することが大事なんです。それが伝わり、ワークをとおしてそういった雰囲気になってくれば、その後はみんなわりと応えてくれるし、その中で鋭い感受性や興味深いフィードバックを見せてくれました。
とても繊細で、こちらがびっくりするような感想もあったわ。よくあるでしょ、誰かが踊って、他の人がそれを見てコメントする時に、より深い部分を感じることができたといったようなこと。それがなぜうまくいったかなどについて話し合うこと。それは同時に、見ることについての基準(criteria)を分かち合っているの。とても面白くて、私はここでとても強い、特別なフィードバックをもらいました。プロフェッショナルじゃなくたって、高い技術を持っていなくたって、彼らは話すことに対して独特のセンスを持っているのよね。
ビギナーとのトークも面白かった。直球で、ラディカルな質問をされたから。とても良かったと思っています。そこから私たちはアートについて、そして私たちがやっていることについて話し合えたのだから。また、みんながどのように見たかについて、とても本質的で繊細な質問や感想も耳にしました。単に「私はこのダンスが好き。私はこのダンスが好きじゃない」ではなくて、「私は何を期待しているんだろう。なぜこんなに心を動かされたんだろう」という風に、みんな本当に自分たちのやっていることを見ているのよ。
+ どんなダンサーを良いダンサーだと思いますか
エマニュエル 問いかけに対して身体で応えることの出来る人。そのとき、テクニックはある意味便利なものではあるけど、目的ではありません。昨日も日本人ダンサーと熱い議論があったのだけれど、日本人は良い技術を学ぶことを気にしすぎているように思う。それは大事なことだけど、良いダンサーになるためのゴールではない。私はよく、イマジネーションが豊かで、他の人のアイデアと取り組んだ時に、それをすんなり自分の身体にうまく取り込んでいくやり方を知っている人たちと仕事をしているわよ。
+ 舞台での緊張にはどう対処したらいいですか
エマニュエル 「舞台の上に立つのは挑戦である」ということが私は好きで、この緊張を舞台に利用するの。ステージに上がる時はいつも、公衆に対峙しているという事実——それは自分自身に葛藤をもたらすものでもあるけど——を利用しなくてはいけない。ただ、強いストレスにさらされているからといって、クオリティを殺してはいけない。でも舞台に上がってしばらくしたら、乗り越えられるわよ。これは経験にかかってくるけれど。
+ 身体のためにどんなことをしていますか
エマニュエル ただ踊るだけよ。特別なことは何もしない。煙草も吸うけどたくさんじゃないし。それは単に吸うのを忘れるからなんだけど、悪くないことよね。そうね、私には2人の赤ちゃんがいるから、背中や腰への負担にはいつも気をつけなくちゃいけないけど、そうでもなければ特別なことは何も……。疲れた時は、ただ眠る。でもここへ来てからは、やることがたくさんありすぎて、あんまり眠れてないのよね(笑)。
(2007年5月5日 京都)
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