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10 tracking dance 『散文抄』

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廃墟へようこそ。

唐突ながら今回はこんな言葉で、かつて確かにあったけれど、今はないものの気配漂う場所へ、みなさんをお誘いしたいと思います。

「かつてあって今はない」というのは、昨年11月5日/6日に上演された、 『散文抄』 というダンスの夕べのことです。この日大阪の築港赤レンガ倉庫(@NPO大阪アーツアポリア)では、 東野祥子 、山本泰輔、黒子さなえ、木村英一らダンサーたちが、ミュージシャンや衣装デザイナーと幸福な出会いを果たしました。

このイベントで体験したダンスの余韻をとどめたいと、『散文抄』の主催・企画・演出・制作、そしてプレテクストの書き手、AnN-shitsuのFucaさんに、このコーナーを利用したポストプロダクションをお願いしました。作品レビューの後に、テクストとスライドショーをお楽しみ下さい。

さて、その置き場となるこのコーナーを「廃墟」に見立ててみるのは、『散文抄』のイメージと、赤レンガ倉庫の雰囲気に触発されてのことですが、終わってしまったダンスのイベントについてのなにがしかの記録が置かれる場所にふさわしいと思ったからでもあります。

「かつてあって今はない」というのはもうひとつ、ダンスに出会った人に残される共通の感触を言いあらわしているように思えます。あるいはわたしたちは、見ながらにしてすでに、そういった-その場で消えてしまう-記録不可能な-テクストにできない-ものとして、ダンスを受けとめることもあるでしょう。けれども、そういった失われてしまった過去の先取りとともに意識されるダンスは、踊りによって生の循環につなぎとめられていた時代を忘れ、線の時間になじんでいるわたしたちだけのものかも知れません。文字というメディアがもたらした秩序だてられた時間の隙間とか、それを突き抜けた未来だとかを想像してみると、そこから「今の」ダンスは、また変わったものに見えるかも知れない。そう考えると、時間の止まった廃墟という場所は、ダンスの痕跡(track)を追いかける(tracking)足が、ふらふらと迷い込みたくなる魅力を備えているように思えるのです。

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最後にもうひとつ紹介しておくと、『散文抄』の写真展示を含む展覧会が、3月3-5日、10-12日に築港赤レンガ倉庫で開催されるそうです。3月で活動に終止符をうつとされるこのアートセンターは、個々の作品が備える実験性を、ジャンルやアートの中での実験性にとどめず紹介し、訪問者の日常に直接間接にはたらきかけるようなコミュニケーションの場をつくりだしてきました。その活動はまるで、イベントごとに様々な壁の解体作業を進めてきたといった印象を与えるのですが、『散文抄』もまた、この壁壊しに一役買ったと言えるのではないかと思います。その活動に興味を持たれた方は、是非こちらにも>>>展覧会 気配をけしてpiano, piano@赤レンガ倉庫

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それではAnN-shitsuデザインによる『散文抄』のその後をお楽しみ下さい。
あらためて廃墟へようこそ。(↓こちらをクリック)
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