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Books Archivesは「声」をキーワードに現代文学への開かれたアプローチを試みるウェブ放送アーカイヴです |
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Books Archives
Vol.1
「吹雪の星の子どもたち」山口泉著(径書房刊/1984)第一章雪の荒野から
いちめんの雪野原。
仲間たちとはぐれた少年チエーロがひとり橇を担いで家路を急いでいました。
不意に足を停めたチエーロは不思議な歌声を耳にします。
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本はひとりで読むものだと思っていた。
1冊の本にひとりで向き合うものだと。
本というものは不思議なものだ。
たとえば小説を読むとき、「小説」を読んでいるのか、「1冊の本」を読んでいるのか。
ことばの表現が「1冊の本」として読まれることに深くささえられていることによって、本として文学の魅力が開かれていく。
1冊の本がここにあるためには、同じ本が何百冊もなければ存在しない。
この本が存在するためには、企業の打算や権威の思惑など、いろんな諸問題をくぐりぬけ、いろんな人の力を得て、発行される。時間のトンネルを抜けて、本はわたしたちの前に現れる。
わたしは思う。本はパッケージされたことばじゃない。
本は、ことばをつかって世界とどう関わるか、ということに対するひとつの具体的な態度なのだ。
それはまるで、人生を一人で生きなければならないけれど、他者と関わらずには生きていけないわたしたちの姿に重なるように思えてならない。
「本を朗読する」「朗読される」という経験は、1冊の本がもつ行間をあらわすことに尽きると、録音されたものを聴いてわたしは気づいた。
ことばが意味のなかに閉じこもりそうになるのを抑制し、ことばが意味しえないものを包んでいる行間の沈黙を誘いだすのである。
ことばを声にすることによって、ことばがまるで違って感じられることもある。読み間違えもするし、ずいぶん作者の思いから外れていってしまうこともある。
けれど、ことばが身体をとおるとき、ことばは一人一人にさしだす声として、隠しようもなく、生命感のある光を放つ。
Books Archivesは、今を生きるあなたとわたしたちの「1冊の本」でありたい。 |
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