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                |  | Books
                    Archives Vol.3 「吹雪の星の子どもたち」山口泉著(径書房刊/1984)から
 
   家族に別れを告げ、《松明の広場》にやってきたチーエロは、たくさんの子どもたちがひしめく中に、スーウォンやウルムチ、アピカといった友達がいることに安堵を覚えます。一生に一度の旅をひかえ、一張羅の服を着た子どもたちは、みな興奮と不安を隠せないでいます。そんな中、広場の向こうの方から、大きな拡声器の音が響き渡り、ゴルノザ先生からの"お話"がはじまりました。
 
 
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 木々の芽がやわらかく雨にうたれていた4月から頁をひらいた
 「吹雪の星のこどもたち」(山口泉著)。
 枯れ葉舞い散る秋になって、物語の半分に到着したところである。
 
 遅読であるわたしは一回のブックスアーカイブスの時間で、
 ほとんどの場合、一章を読むのが精一杯。
 月に2章すすむ計算なので、31章あるこの物語は
 1年かかっても読み終えることができない。
 
 このマラソンのような取り組み・ブックスアーカイブスに来てくださる方、
 そしてサイトやCDを聴いてくださる方、
 音響スタッフや静かな作業を強いられているカフェのスタッフにも
 こころから感謝している。
 
 さて、このブックスアーカイブス公開朗読録音に立ち会ってくださる方は、
 常連の方もいらっしゃるがはじめての方もいて、
 毎回最初にあらすじを話している。
 そのあらすじがどんどん長くなっていくのが、何とも言えず楽しい。
 
 この物語を声にするたび、
 作者の魂の何重にもあるカーテンの奥にある燃える炎をかいま見る。
 
 地球ではない想像の星・吹雪の星を舞台に繰り広げられる物語は
 地球にはみられない慣習もあるけれど、歴史があり、出来事があり
 ほかでもないこの日本という国を生きるこどもや大人たちの物語だ。
 人々の弱さやたくましさが縄のように紡がれている。
 
 縄の、陽の当たっていた糸が、編まれて日陰に隠れ、またあらわれていく。
 とどまることのない人生の時間の流れと同じように。
 物語に登場する人々は年齢や職業も性別も価値観も違うけれど
 わたしは自分の中の一部をその群像のなかに見いだしてしまう。
 
 物語の核にあるのは「生きること」への提言である。
 迷い、悩むわたしたちは、生きている最後の一瞬まで、生命を尊び、人生の物語を歩きつづける。
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