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客席数96席。ミニシアター時代の前衛的なムードが今も残る。
第七藝術劇場
十三本町1-7-27サンポードビル6F
TEL.06-6302-2073 |
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『永楽堂』の谷澤さんの話にも出てきた映画館『第七藝術劇場』は八年前のオープン以来、国内外の秀作映画を企画上映するミニシアターとして営業していたが、残念ながら二年前に休館。現在は貸ホールとして、自主映画や演劇、演芸、コンサートなど文化活動の場として利用されている。今後の動向に期待したいところ。
もう一つ、このかいわいで異色と言えるスポットが、ライブハウス『ファンダンゴ』。キャバレーやスナック、風俗店の突き刺さるようなネオンを振りきったところに姿を現した、落書きだらけの建物の壁が周囲とは明らかに違う雰囲気を放っている。
「飲んで楽しむ『大人の遊び場』が、こういう歓楽街にあってもエエんちゃう? それがこの店の出発点」と語る店長・加藤鶴一さんの言葉どおり、バーカウンターには洋酒のボトルがずらりと並び、ドリンクメニューだけで五十種類以上も。お酒に浸りながら音楽に耳を傾けたり、ステージ前で踊ったり、グループでテーブル席を囲んで騒いだり。ライブ演奏中のお客さんの過ごし方は、人それぞれだ。独自のイベント企画にも積極的に取り組み、「ファンダンゴだったら出たい、観たい」というアーティストやファンを徐々に獲得。オープンから十四年目を迎える今、関西の音楽シーンに欠かせない存在となった。
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ネオンまたたく通りで、ひときわ異彩を放つ『ファンダンゴ』。連日、若者が列をなす。 |
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ライブ後はドリンクがオール500円。バーとしても利用できる。 |
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「この場所じゃなかったら、今ごろは潰れてたかも知れません(笑)。僕は十三の出身やないけど、キタでもミナミでもない、歓楽街と下町が同居する独特の雰囲気が妙に居心地よく感じるんですよね。ココに集まる人もそういうところが好きみたいで、ライブの後に町をウロウロして行きつけの店を見つけたりしてるみたいですよ」
ファンダンゴの真向かいにある『しぃちゃん』も、ライブの出演者たちが打ち上げなどでよく利用する焼肉屋さん。ライブを見終わって表に出ると、ちょうど店の前に「お母さん」こと女主人・東谷しづさんが、割烹着姿でちょこんと立ち、こちらの様子をジ〜ッとうかがているところだった。
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「気楽にしていきや」と大正ひとケタ生まれの『お母さん』。
しぃちゃん 十三本町1-14-7 TEL.06-6308-6012 |
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「今日のバンドの子らは、どんな感じかなぁって。いっつもここに立って見てるんよ(笑)」
常連となったバンドがワンマンなどの記念ライブをする時は、一升瓶を持ってお祝いに駆けつけることも。かつてファンダンゴをホームグラウンドに活動していたウルフルズも、「お母さん」のお気に入りバンドのひとつ。店の壁を指さしながら、「あの子らが載ってた新聞の切り抜きやねん。みんな可愛いやろ」と、その笑顔は本当にうれしそう。焼肉の香り以上に惹きつけられるのが、「ただいま」と言ってしまいそうになるこの懐かしい匂いなのかも知れない。
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