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三方の角に町家が残っている「町家の辻」。六波羅さんと中嶋さんの歩く共同研究「空堀町家考現学」の出発地点に。 |
風情あふれる町家の辻
空堀は秀吉大坂城をガードした惣構で、大坂冬の陣後に埋められた空堀ゆかりの町。大正から昭和にかけてニュータウンとして開発が始まり、いまは歴史を刻んだ古い町家を再生する町おこしが、市民の手と情熱で進んでいる。
谷町六丁目。「この辻、いいでしょう。隅切りされた町家がこれだけしっかり残っているのは珍しい」と六波羅さん。長屋を改造した六波羅さんの自宅兼事務所から東へひと辻。四つ角のうち、三つの角に町家が建っている。中嶋さんは興味深そうに見渡す。
「本当ですね。大阪の近代町家らしい特色をよく留めています」
食堂にバッグ店。さまざまな表情をもつ「町家の辻」だ。南下すると、「石丸会」の門が目に入る。路地の奥には町家が軒を連ねる。
「この近辺では町家の地主や家主さんが同じ場合、町内会のような独自の組織をつくっていたのではないでしょうか。路地は外ではあるけれども、門からいったん中へ入るような中間的な空間をつくりだしている」(六波羅さん)
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「いっしょに住むモラルやルールがいつのまにか育まれるような」
「門の中では知らない人同士でもあいさつできる。路地の役割も含めて長屋は現在の集合住宅の問題点をかなりクリアしている
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