渡船って一体どんな乗り物なんだろう? 
職員さんと乗客、様々な立場から渡船に対する思いを語ってもらいました。

職員さんから
兼田透さん(嘱託職員・62歳)


利用客も変わりましたか?
景気がいい頃は工場にお勤めの人をたくさん乗せました。最近では、渡船事務所が「渡船場マップ」を発行してから、テレビや雑誌にも紹介されて注目を集め、地元以外からもお客さんが来てくれるようになりましたね。楽しそうに乗ってはるのを見ると、こっちもうれしいですね。
 
いつから渡船にお勤めですか?
昭和35年から、平成14年の3月31日まで職員でした。現在は嘱託で業務についています。
お仕事についたきっかけは?
兄が渡船の仕事をしていたので、それを頼って大阪に来ました。就職する前に一級船舶の免許を取りまして。海沿いの町の生まれなんで、船に乗るのは全く抵抗なかったですね。
昔の渡船で、思い出に残っていることはありますか?
当時は買い出しのリヤカーをよく載せましたね。乗客も今より多くて忙しかったですね。
運航中、一番気を使うのは?
渡船は、河川を横断するでしょう。それで海上衝突予防法上「横切り船」となっていて、他船を優先しないといけません。時々、すごいスピードのレジャーボートが走ってきたりするので、その都度航路を変えるなどしています。また別の船が通ると、渡船もかなり揺れるので安全には特に気を使います。
須藤章浩さん(職員・42歳)


これまでに印象に残っている出来事はありますか?
千本松渡船で業務を行っていたとき、転覆しかけている船を見つけ、人命救助に当たったことがあります。渡船から手を伸ばして、人を引っぱり上げたんですよ。後で表彰状をもらいました。

反対に大変に感じることは?
雨風が強い日や冬の寒い日は、正直、しんどい時もあります。風が強いと操船も難しいんですよ。年に1、2回ですが、大きな台風が来ると運休になることもあります。
 
仕事をしていてうれしいことは?
乗船、降船の時にお客さんから「ありがとう」と言ってもらうと、やっぱりうれしいですね。顔見知りの人もいて、毎日「おつかれさま」と言ってもらえることです。

渡船の楽しみ方があれば教えて下さい。
甚兵衛渡船は航路が短いけど、景色を楽しむなら左舷に乗るのがおすすめです。また、夏の天保山の花火大会の日は、渡船場も賑わって独特の風情がありますよ。各渡船によって個性があるので、渡船を巡るのも楽しいです。天保山はUSJで働く外国人や観光客が多いし、千歳は航路が長く、風景もゆっくり楽しめます。
乗客の皆さんから


港区在住・男性・会社員・30代

港区の自宅から泉尾の会社まで毎日利用してます。そりゃ、便利ですよ。車を利用するより早いしね。でもときどき、目の前で船が出てしまったときは、なんともいえず寂しいんですよね〜。「あー、後15分、待たなアカン!」って。自転車があってもこれで川は渡れへんしね。
大正区在住・女性・主婦・30代

渡船場の近くに住んでいます。船で渡った先に大きなスーパーがあるので、お買い物にいつも利用しています。あと、天保山や弁天町の方に出掛けるのにも便利! 乗船料が無料なのがいいですねえ。結婚して初めて、渡船を使うようになったけど、なかなか風情があるもんですね。特に夏は気持ちいいよ〜。
 
大正区在住・男性・会社員・20代

子どもの頃からよく乗ってました。船に乗れるのがうれしくて友達と何回も往復して、しまいに職員さんに注意されたりねー。大きい船が通ると、揺れてちょっとしたスリルが楽しめるんですよね。今は大正区の自宅から市岡の自動車教習所に通うのに利用しています。

大正区在住・
西成リトルシニアリーグの皆さん・10代


西成のグラウンドまで、甚兵衛と落合上(渡船)を乗り継いで行くねん。こんなに大勢で乗れるかって? 楽勝、楽勝! 余裕やで。そやけど、先輩がふざけてて、カーブしたときに落ちそうになったって言うてた。ほんまかどうか知らんけど、それ聞いてから、みんなマナーを守るようにしてます。
港区在住・女性・主婦・60代

大正に親戚があるから、よく利用してます。干潮の時は、渡船場と桟橋にかけての傾斜がきつくなるんやね。昔は今みたいに桟橋にすべり止めがなくて、雨の日に滑って転んだことがありましたわ。当時と比べると渡船場もずいぶん改良されてきれいになったねえ。いつもきれいに掃除してはるしね。
堺市在住・女性・専門学校生・20代

今日は友達と大正を散策に来ました。この辺りは、昔ながらの雰囲気が残ってて、歩いてても楽しいですよ。沖縄料理屋さんや、おいしいチャイ屋さんもあるし。渡船は今日のメインイベント! 初めて乗るんですけど思ってたより早そう。この後、千歳渡船場まで足を伸ばします。楽しみやわ〜。