工場の煙突、おおらかな川の流れ、橋の向こうに沈む夕日…。どことなく懐かしい風景が広がる渡船場。古来より、水の都として栄えてきた大阪には、人々の往来のための渡船場があちらこちらにあった。橋が掛けられるにつれ、渡船は次第にその数を減らしてきたが、今も大阪市には、市が運営している8か所の渡船場が健在だ※。これらは道路の一部という認識がなされ、現在はすべて無料で利用できる。中でも最も古い歴史を持つ渡船場のひとつが、港区・福崎1丁目と大正区・泉尾7丁目、尻無川に隔てられた2つのまちを結ぶ甚兵衛渡船だ。