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4月13日(日)
『プレジデント』の掲載号があがるので、編集の出来さんと一緒に文楽劇場へ行って、直接お世話になった方々に渡そうかという話だったが、出来さんの都合がつかずにキャンセル。でも、私もその方がありがたい。もうギチギチである。『ぴあ』『SAVVY』、そして猫道…。ああ、どうなる、どうする?

4月14日(月)
ヤバい。かつて、こんなにヤバい締め切りやぶりがあっただろうか? …あったような気がする。ごめんなさい。各編集部の人たち。とりあえず、急ぎ原稿を入れる。夕方、熊野で知り合ったカメラマンの今井紀彰さんが大阪に着。MEMで森村泰昌展を見ているそうだ。明日、熊野に行こうと約束していたのだ。わはは、こんな時に。でも、行っちゃうもんね。夜、今井さんと合流。うちでさっそく"おかいさん"を食べる。とりあえず、朝早く、5時ぐらいに出発することにする。アウトサイダー・アートのこと、『2002年ソウルスタイル』のこと、いろいろ話す。今井さんは聞き上手なので、調子にのって持論を熱く喋ってしまった。ちょっと照れくさい。

4月15日(火)
朝5時起き。上田お母さんからもらったレモングラス入りの紅茶をポットにつめて、今井さんの車で出発。湾岸線を走る。夜明け前の薄い光の中を、薄い霧のような雨が降っている。海岸沿いの工場の光がにじんでいる。BGMはブレードランナー。ちょっとトリップしてしまうようなシチュエーションだ。和歌山に入る頃には、夜が明けていた。お願いして、和歌山で高速を途中下車。父母の墓参りをする。正月以来か。正月には、お花が買えなかったので、今日はゴージャスなお花を供える。でも、お線香を持っていなかったので、お地蔵さんのところからお賽銭を入れて、少しいただく。いい加減な墓参りだ。今井さんも手をあわせてくれた。ありがたいと思う。で、一路、南へ。わくわく。高速が御坊まで通ったので、すんごく速い! 私が子供の頃は、父の実家である田辺まで行くのに1日がかりだったのだ。田辺に8時ごろ着。朝ご飯を食べつつ、おばちゃんに電話すると、「昨日から待っていたのに、どうしてんの!」というお返事。ごめんねー。さらに、今井さんが「海岸沿いの道が風景がいいから、そっちを通っていきます」とのこと。で、結局、お昼12時ごろに新宮のおばちゃんちに到着した。大阪から7時間かかったわけだ。いとこのみっちゃん(女性)は、3時間半で新宮から大阪まで来る。うーん、スーパードライバーである。お昼ごはんは、もちろん"おかいさん"。さらに、ちらし寿司も作ってくれていた。ものすごく待ちかねていたらしく、食べるやいなや、おばちゃんが「じゃあ、熊野を案内するから」というので、さっそく出発する。熊野川をどんどんさかのぼる。那智の滝の裏側の山にも、いくつもの滝があり、瑠璃色の渕があり、神話がある。川辺を掘るとお湯が出てくる川湯温泉、小栗判官蘇生の地である湯の峰温泉、熊野本宮、熊野本宮がかつてあった場所、和泉式部が熊野大社を伏し拝んだ山のてっぺん。それぞれの神話や言い伝えをおばちゃんが話してくれる。一番面白かったのは、熊野大社が金貸しをやっていたこと、海賊と結びついていたことなどなど。熊野は、聖も俗もごちゃ混ぜで、混沌としていて、とても生命力にあふれている。

4月16日(水)
残念ながら、私は朝8時43分の特急に乗って帰る。今井さんは、おばちゃんちに泊まり続けるらしい。もはや、あの家の養子になるかもしれない。電車の中でえんえんと眠り続ける。午後2時、滋賀県の雄琴駅着。成安造形芸術大学へ。はたよしこさんからのお誘いで、滋賀県が主体となって障害のある人のアートを紹介するギャラリーを作るので、その知恵袋のひとつになってほしいとのこと。兵庫県立美術館の服部さん、橘女子大の小暮さんなど、見知った人もいたので頼もしい。みんなにおばちゃんが持たせてくれた"めはりずし"をふるまう。「美味しい」の声に大満足。新しいギャラリーは、町屋を改装して作るらしい。伏見工芸の和田さんが改装プランを出してくれていた。でも、作品の展示スペースを考えると、ある程度"町屋らしさ"は消えてしまう。それに、障害のある人が来客すると考えると、車の駐車スペースや、車いすで行きやすいトイレも考えなくてはいけない。難しい。でも、行政が主体となっての障害のある人のアート・ギャラリーは日本初なので、いいものを作りたいものだ。

4月17日(木)
朝6時起き。今日のフィールドワーク授業の準備。遅いがな。どんどん仕事がたまってくる。猫道の締切も1週間以上遅れている。MACを持っていって、今日の授業の場所であるフェスティバルゲートで猫道をすることにする。でも、意外に早く来た学生がいて、仕事にならず。11時集合。25分間、フェスティバルゲート内を自由に探検。11時半から事務局の角さんに話を聞く。むっちゃ面白い! ホンネトーク。角さん語録、『芸術とは自らを省みることなり』。名言だ。午後から、remoの雨森さんのお話。そして、ウーファギャラリーの『OUR MUSEUM』のビデオ鑑賞。しょっぱなとしては、ハードなスケジュールだったか? 授業は終わったが、夕方5時から文楽鑑賞教室のスタッフと打ち合わせ。チョキチョキ絡みで、楽しい鑑賞教室が出来ないか、という相談を受ける。ありがたいお話だ。なんとか上手くまとめたい。7時からログ打ち合わせ。だんだん疲れてきて、モーローとしてきた。彫刻の森美術館の坂本さんが大阪に来ているらしいが時間があわずに、会えず。ログのスタッフと、焼肉になだれこむ。熊野で馴染んでいた"おかいさん"や"めはりずし"のきよらかさから逃げるように肉をくう。妙にハイテンションになっていて、疲れきってしまい、電気もテレビもつけっぱなしで寝てしまった。

4月18日(金)
朝からリハビリ。いまいちよくならない。あいかわず右腕は、上にまっすぐあげられないし、「なんでやねん」のつっこみ手も出来ない。先生は「真面目に筋肉トレをしましょう」というが、やりすぎると痛くて次の日が仕事にならない。真剣に困ったぞ。英会話。少しずつ毎日のペースを取り戻す。おそろしく遅れて猫道日記を入稿。日記なのに、なぜ遅れるのかというと、メモ書きを読めるものに直しているからです。

4月19日(土)
朝やっと起き。今日は森村泰昌さんと橋爪節也さんのトークショーだ。でも、昼にMEMに電話すると、私は申し込みしていないことになっていた。席は用意出来るけど、デザートはないかも! がーん。でも、実際、行ってみると余った分があって食べられた。おいしかったです。トークは、前半は森村さんが独りで飛ばしていて心配していたが、後半は橋爪さんもたくさんしゃべってなかなか面白かった。橋爪さんは文楽も好きそうなので文楽チョキチョキとしてスカウト。森村さんとも穏やかにお話出来て、いいかんじ。森村さんとお話するとほっとする。

4月20日(日)

障害のある人の絵を会社などにレンタルする事業をおこせないか、と考えている知人を案内して、学生時代の友人である榎崎真由子さんがアート・サポーターとして関わっている"あとりえHopper"に行く。すずかけ絵画クラブより若い人達が多く、ボランティア・スタッフやお母さん達もたくさん来ていて、とてもにぎやかだ。それぞれ自分の思うことをやっているのは、変わらない。最後にお茶会があるのが面白かった。私は、その後、赤崎みまさんの個展に行くために失礼する。赤崎さんの個展は、予想通り素晴らしかった。夜、日が暮れてからスライドショーがあった。赤崎さんの作品になっている光を放つ果物の映像が闇からゆっくりと現れ、やがて消えていく。それだけのショー。単純な仕掛け。だけど、誰もが目をうばわれ、心を開いていく。2粒のぶどうを撮った作品を買うことにする。美しい作品だ。その後、町屋を改造した料理屋さんへ行く。赤崎さんと今、浜田市世界こども美術館で展覧会をしている荒木珠奈さんも合流。荒木さんの作品ファイルも見せてもらった。とてもいい感じ。何か"作る"ことの喜びが素直に伝わってくる。料理も美味しかったし、よい時間を過ごした。
山下里加
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