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6月28日(金)
 『Meets』の日韓交流展の原稿書き。手こずる手こずる。

6月29日(土)
 昨日と同じ。うーんと考え込む。カタイ、カタイ、カタイ。。。

6月30日(日)
 万田邦敏監督の『UNloved』という映画を見る。扇町ミュージアムスクエアで、モーニング&レイトショーでしか上映していない、とってもマイナーな映画なのだが、『SPA! 』で中原昌也が書いていたレビューにひかれて見てしまった。
以下その引用。

----何の心構えもなく試写を見てしまったばっかりに、観賞後ショックのあまり立ち上がることすらロクにできなかった。(中略)彼女が演じる気の強い、意志が異常に強いながらもどこか健気な女性。(中略)この得体の知れぬ、どこの馬の骨とも知らぬにもかかわらず強靱な意志を持つ女性と、彼女を巡る二人の男性の物語、と軽く書いてしまえば「そりゃ、恐ろしく地味な映画なんだろう」と……(中略)……いや決して地味なんかじゃない! 恐ろしく骨太に、そして類い希なユーモアを盛り込み、現実には存在しえない魅力的な女性像をフランケンシュタイン博士のように無理矢理創造し、さらに彼女を暖かく見つめた実験映画みたいなもの、と僕の目には映ったのだ。----

 で、私もガーンと大ショックを受けてしまった。内容は、お金持ちでカッコつけな男と、貧乏だけど自然体の男、ふたりの間の女、というステレオタイプ化された男女の話なのだが、これが過去の恋愛物語をすべて壊していくような、残酷なストーリー展開なのだ。

 そこにいるのは、ただ自分の生理的な居心地のよさを死守する女性。人と比べることを断固として拒否する。「私は私でいるだけ」と言い切り、恋人にむかっても「あなたもあなたでしかない」と断言する。同行の男友達に「あんな女性どう思う?」と聞いたら、「やっかいだね」という。確かに。だけど、ひりひりするぐらい、分かる。同じだと思う。

 これは、小池田マヤの漫画『すぎなレボリューション』と同質のもの、そして安野モヨコの『ハッピーマニア』とコインの裏表。そりゃ『UNloved』の主人公が社会的な出世を拒否するのに『すぎな…』の主人公は男を捨てて仕事に生き甲斐を求めていたり、『UNloved』の主人公は恋愛に幻想を持っていないのに『ハッピーマニア』の方は理想の恋愛妄想中毒にかかっている、と現象だけ見ていればまったく違う3人だけど……結局、そこに描かれているのは、なんの根拠もないのに(社会的権威を持っていないのに)意志が異常に強い女性。しかも、やっかいなことに3人とも「自分しか愛していない自分」を自覚している。恋愛物語なのに。。。

 いつ頃か、ごく普通の女性漫画雑誌にも、従来のハッピーエンド物語(=恋愛成就or結婚)に混じって、けなげなのにハッピーにどうしてもたどり着けない女性が登場してきた。しかも、彼女達はアンハッピー(=恋愛不成就or非結婚?)を自ら選択している。

 映画『UNloved』のラストシーンは、ファンタジー。パンフレットに載っている小説『UNloved』のラストは、現実。「きみは誰からも愛されない。そういうひとだよ」という言葉で終わるのが、リアル。だからタイトルが『UNloved(愛されざる者)』なのか。

山下里加
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