短編の映像作品を見せる機会も少ないし、媒体としてテレビのブラウン管の放送を使って作品発表をしてみようとあの番組を思いついたんです。美術作品がテレビに出る時はほとんどが紹介番組になってしまうので、テレビの枠を使って、その番組自体が作品になっているようなものを作ろうと。
その時に、いろいろ作品を集めてきて流すだけだったらおもしろくない。全体のディレクションが必要だし、自分のテイストを打ち出してそれに合ったもので構成しました。でもあの番組をさせてもらえたのは奇跡的ですね。やってみて分ったことは、まだメディアとしてはテレビは強い。広がる度合いとか、影響力とか考えたら映画はやっぱり映画好きの人しか見ないしね。
テレビや映画、DVD、また美術館などと、いろいろな媒体で形体を変えて発表をされてますが、そういった枠組みをどのように捉えているのでしょうか?
ジャンルをあまり考えずに、自分が興味を持っている媒体や空間で発表するということが出来たら、そして、それがなんらかのカタチで繋がっていったらおもしろいなあと考えてます。
バミリオンはテレビ番組として発注を受けたのでまずは、ブラウン管で見れるように作ったわけだけど、その後に、映画『カラー・オブ・ライフ』になったり、ライブをやったり、レコード出したり。これも単なるサントラではなくて、それ自体が作品になるように構成して、新しく付け加えたり。そういうカタチでビジネスとしてもリンクしていくようなことがおもしろいんじゃないかと。
どっちかというと、作る内容よりも、カタチ、形式として、例えばテレビで発表するということがおもしろい!とか、そっちの方に興味があるような気がする。だから、最近は先にそっちを考えて、その後でその形式に合った内容、今好きなもの、作りたいものを考えるというような。だから先にどうしてもこういうものが作りたいというのがあるわけではないんですよ。
映画の場合も、「映画を作りたい」っていうのがまずあって、どんな映画かというと何も具体的にあるわけじゃなくて、1年くらいかけて考えていくうちに、こういう映像をつくりたいとかこんな撮影をしてみたいとかいうアイデアが出てきて、それが一つの話につながってシナリオが出来上がる。
何を表現したかったかというのは出来上がった時に、自然にまとまっているものだし、最終的にその時に自分が考えていることが出るんです。基本的な自分の人生観みたいなものもね。だから、ただ単にシナリオとしておもしろいものに仕上げようと思って書き始めるわけでもないし、商業映画みたいに起承転結があって、ここでこんなアクションがあって、そこで最後の対決があってというようなつくりでもない。もちろん見てて飽きさせないようにはしないといけないけど。『狂わせたいの』の時もそんな感じでした。
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