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1.「ゴジラ対太陽の塔」映画化!
ヤノベケンジ(以下:ヤ)
 「ゴジラの時代」展において関連ワークショップを依頼された時、それをこの岡本太郎美術館でする意味や、現在生きる作家がゴジラにどのように影響を受け、これからどうなっていくのか?社会現象も大事だけど、美を究明するという美術館としての切り口はどこにあるのか?ということをまず考えました。結果、その部分は
僕が担わなければいけないのではないかという決着が自分の中でつき、岡本太郎とゴジラとの関連性を明確に出来るようなワークショップなり作品を創る方向に進んでいきました。

 (東宝という映画会社が関わってるということもあり)当初はワークショップで映画を撮るというプランを考えてたんです。分かりやすいタイトルなんだけど「ゴジラ対太陽の塔」という映画を僕が作って展覧会に出品する。東宝の協力を得て、既成のゴジラを使えたりミニチュアのセットや特殊効果のためのCGスタッフの協力も得て、完成度の高いものを作れないか?と。最初は東宝もこの話に乗り気ではあったんだけれど、ゴジラの映像表現を東宝以外の人が撮ったり使ったりするのは問題であるということと権利の問題でとん挫してしまってね。その時に品田さんが浮かんできた。

 僕は中学時代からゴジラのキグルミを作っていたんですけど、そのきっかけとなっているのは「宇宙船」というSF雑誌の、品田さんが担当されていた怪獣造形教室というページなんです。どういうふうに怪獣のキグルミを造るかというのが写真入りで載っていて。それを食い入るように見て、実際、怪獣造形をはじめた。

 言ったら、僕をものつくりの世界へ引き入れる一つのきっかけを作った人なんです。以前から美術家として造形を創る段階において自分の美しいと思えるカタチ、美意識が育てられたバックボーンには怪獣造形やSF映画、漫画であったりという、少年時代に見ていたものの中に美意識の根源があるのではないかという追求心を持っていたこともあって、そこを探るようなことが出来たらなって。

 それで、今回、怪獣造型師の品田さんを招き、僕の美意識の根源がいったいどこから来るのか、またそれが普遍的なものであるのかどうかということも調査をするためのワークショップにしようと。多く一般の方に怪獣を発掘、発見してもらうことによって、そこに共通の美意識が存在するのか、あるいは我々の美意識の根源に近いものはあるのか、といったようなことの個人的な研究に。同時に参加者みんなで考えた怪獣が、あわよくば実際に東宝の新しいゴジラ映画にその新怪獣として登場出来るかもしれないという発展的な可能性も考えているんですけどね。

 品田さんに参加してもらったことや東宝の富山省吾プロデューサーを審査員として巻き込んでいることは、「ゴジラ対太陽の塔」映画化の復活に少しでも近付けるための下心も潜んでいたりもする。このようないろんな砕片から今回のワークショップに至ったわけです。


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