品 あと美術館というところのお膳立てが整っていると「あっ、いいんだ!」って思えるようですね。
これがデパートのイベントだとまた違う。権力を借りるというと語弊があるんですが、こういう広義なところでやると解放されて独り遊びにふけることが出来る。設定あそび。みんな子供の時にやりますよね。自分の物語を作ったり、キャラクターを設定して人形を動かしたり。羽を生やしてみたり、それが大人でもこういうきっかけや場所を与えられると、自然に出来るんだということ。誰にでもそういう部分がちゃんと残っていて、「でたらめでいいんだ」って分かると喜々として描き出すんですよ。
ヤ 美術のワークショップだと何をやってもいいんだけど逆に広すぎて何をやったらいいのか分からなくなったりするけど、今回は映画のための「ゴジラと対決する怪獣」と明確だったから、その枠の中で自由にできたんじゃないかな。 |
|
品 日本人て口火を切るのが苦手というか疑い深くて、足下をすくわれてばかにされるんじゃないかって本能的に思っているところがあって、遠巻きに見てるところがあると思うんですけど。今回のように、もっともらしいきっかけがあると、意外とおもしろがって自分なりの物語を紡ぎ出すんですね。最近はキャラクターブームでほとんどの人が消費者として受け手側に回っているとタカをくくっていたんですけど、自分で物語を考えたり、キャラクターを作ったりすることが出来るんだなということを発見。それがまだ幼稚だったり洗練されてなかったとしても、自発的にはじめる素質、はみんな持っていて条件や機会さえあればすぐに発露する。これはこういう場がなければ発見出来なかったし、とても面白い。もっとやりたい。 |
ヤ そうですね。
今回はこの後、二人でそれぞれ選んだものを立体にするとことになっていて、一つずつ選ぶんですけど、二人の視点の違いがはっきり出ました。というのは品田さんはやっぱり、実際映画する時に現実的に出来るのかということを考える。映画というのは、人が入ってお金を稼がないといけないからある程度の枠を守らなければいけない。反対に僕はそれを覆すことでとんでもないものが出来ないかなという立場で。
そう言えば、今度のゴジラに売りこもうかなっていうのをいくつか見つけてましたね。(笑) |
|
*ワークショップ
2002年6月9日(日)川崎市岡本太郎美術館で行われたワークショップ「対ゴジラ新怪獣創造計画・あなたの中の怪獣を呼び覚ませ」より |