怪獣ものはあたるので世界中で作られているけど、2作目が作られるのは日本以外にはない。怪獣のキグルミはちゃちなんだけど軍隊が全面協力して実弾打っている国もあったりするんですけど、日本の場合、レーザー砲を打つ場面なんかがあると、「自衛隊はそんなものは持ってない」って協力を断られたりして、特殊車輌とか撮影用に作ってたりするんですよ。でも実際そういったものに対するこだわりがフェティシズムとなって画面から現れる。大人が真剣にやっているばかみたいなこと、しかも団体芸でやっているっていうのは非常にフェティッシュでありエロスになる。 |
怪獣による大量破壊というくだらないものの最たるものを大枚は叩いて手間ひまかけて、日本人はまじめですから、真面目に作るんです。まじめにやってる無意味な結果っていうものほど、実はそこにエロスがあり、愛着が出てくるんです。子供の真剣な積み木遊びが大人にシフトしたと言ったところでしょうか。女性に対する願望や欲望と似てたりもするんですよね。「生産と破壊」、台風が来るとワクワクするでしょ。日常に非日常が近付いてくるとか、怪獣が都市を破壊するカタルシスというのは自分の閉息した状況や退屈した日常を壊してくれる。無に返してくれる。 |
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今の社会にリセットをかけたいという願望を持っている人がたくさんいると思うんですが、それを代償行為として見せてくれるのが怪獣映画じゃないかと。そしてそれを創れる性質を持っているのは日本人だけのようで、意外にアメリカでもマニアだけでなく広く一般に愛されているのは、日本産のゴジラなんです。アメリカでゴジラ映画が作られた時に「ゴジラじゃない」って日本人と同様の反応をアメリカ人もしたわけですね。文化は違ってもスピリチュアルな部分は伝わるんだなあと実感しました。 |