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 <桂吉朝(かつら・きっちょう)>(ホームページ)といえば、テレビやラジオでレギュラーを持っているわけでもないのに、今時、独演会に立見が出るほどの人気を誇る噺家だ。
 実は、「吉朝さんと、ちゃんとお話がしたい!」という<味方玄(みかた・しずか)>(ホームページ)の熱望を聞きながら、ふさわしいチャンスをと考えて、お願いしないままになっていた。
 ところが、稽古帰りに来合わせた<味方玄>が、ご本人に直訴してしまったのだ。
 「あっ、待って!まだちゃんとシチュエーション考えてないのにぃ」という私の心の叫びも空しく、「それでは、京都の独演会のあとに一杯呑みながら…」と話がまとまってしまった。
 呑みながらかぁ…めちゃ嬉しいけど、ちゃんとした話になるんやろか、という不安を抱きつつ、ま、いっか、なんとかなるわい。

 

 

 上京区寺町通今出川上ル東入上ル…出町柳駅の近所の枡形商店街を少し北に入ったところにある<YAOYA(やおや)>。
 大将は、<味方玄>の同級生…とくれば、タダモノではないはず。
 「とりあえず、お造り!美味しいのん盛り合せて!」
 出てきたのは、関さば、うに、まぐろのトロ、かんぱち、とり貝…うふふふふ。
 ささっ、まずは、生ビールで、お疲れさまでした〜っ。

 

桂吉朝(以下、吉朝)「はーっ、終わった〜っ!終わったらこっちのもんや(笑)」

(笑)お腹空いてはるでしょう?吉朝さんは、舞台の前は食べはれへんタイプですか?

吉朝「んー、そうやね。せやけど、僕、『蛇含草(じゃがんそう)』演ってたら、ほんまにだんだんお腹いっぱいになってくんねん」

お餅おいしそうやったなぁ。もうお腹に入れへんっていう時は顔色まで悪くなったように見えましたもん(笑)。こないだね、大阪の独演会のあとで楽屋に伺ったら、バナナ食べてはったでしょ(笑)。すっごいお腹空いてはんねんわと思て(笑)

吉朝「今日もバナナは食べたよ(笑)」

玄(しずか)さんは、わりと舞台の直前でも食べてはる(笑)

味方玄(以下、味方)「あんまりいっぱい食べると、謡われへんようになるけど、僕、お腹空いてたら、途中でバッテリー切れるんです(笑)」

いや、いっぱいは食べなくていいし!(笑)でも、舞台の前に食べなあかん人と、食べたらあかん人といてはりますよね 

 

 「“うに”は、塩で食べてみてください」と大将。
 う、うまっ。
 大きな岩牡蠣が出てきた。
 レモンをしぼって、ちょこっとぽん酢をつけて。
 や〜ん、おいしすぎっ。

 

吉朝「今日は最初から見ていただいてたんですか?」

味方「はい、最初から拝見してました。僕、今日はあとでお話しさせていただくし、少々のことでは笑わへんぞぉと思て、意地悪ぅ〜な見かたをしてやろうと思ってたんですよ(笑)…けど、そんなんどうでもよくなって(笑)。ほんまに面白かったです」

吉朝「いやいやいや、ありがとうございます」

後ろから見てたら、背中がすごく楽しそうでしたよ

味方「うん。<マクラ>もすごく面白かった。あれは、いつ考えはるんですか?直前に、これを話そうって思ってやったはるような感じですけど」

吉朝「そうやね。わりと直前やね。あんまり作っとかんほうが、ええでしょ?」

味方「出てってその場で、というのもありますか?」

吉朝「うん。やっぱりその日のお客さんの反応を見ながらっていうのはありますな」

前にしてはった新幹線の話とか、最近あったエピソードみたいなんは、あれは、ほんまの話なんですか?

吉朝「新幹線っていうたら、しりとりの話?」

そう(笑)、子供がしりとりしてるのん、頭の中で自分も一緒に考えてしもて寝られへんかったっていう(笑)

吉朝「そやねん!東京から新幹線に乗ったら、まぁ2時間ぐらいは寝られると思うやろ?ゴールデンウィークやっちゅうの、うっかりしてたんや。子供がぎょうさんおって、わぁわぁ言うてうるそうて寝られへん。ほんで、皆ディズニーランドの帰りやからミッキーマウスの風船持ってて、それが並んで前の席から頭出してこっち向いとぉんねん(笑)」

(笑)変な光景や〜

吉朝「でも、今は黄色いの(=耳栓)持ってってるよ。あれはいいですわ」

味方「あれ、いいでしょう? 」

それ、なんか残念な気がするのは私だけかな(笑)

 
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