
第一幕の舞台は、中央区にある児玉画廊。気鋭のギャラリスト、児玉公義は、本展のために3室をセッティングしていた。第1室では、様々な時代の平面や立体をたっぷりと展示。第2室は、近作のバルーンによるインスタレーション空間になり、第3室が映像作品の部屋になった。
第2室のインスタレーション「dots obsession」は、真っ白な空間に丸みのあるバルーンが配置され、赤い水玉模様が全体を覆っているというもの。シンプルな構成なのに、どこか神聖な気配を放つ。私も含めて、誰もその空間に足を踏み入れようとしない。窓枠ごしにうっとりと見つめ続けるばかりだ。
オープニングの時間が近づくにつれ、たくさんの人がやってきた。身動きが容易ではないほどの混雑ぶり。ざっと見渡したところ、20代の人達が多いよう。みんなウキウキと主人公の登場を待ちかまえている。
近くにいた20代のアーティストと雑談する。
---草間さんの作品との出会いはいつ頃でしょうか?
「中学生の頃」
---ええ! かなり早いですね。
「美術の授業で草間さんのハプニングのビデオを見たんです」
---先生は?
「椿昇さん」
(現在、最も先鋭的なアーティストのひとり。草間彌生も参加した『横浜トリエンナーレ』では室井尚と組んで、巨大バッタ・バルーンを制作した)
---納得…。その時の感想は?
「こんなのありなの!? これもアートなの!! 衝撃を受けました」
---草間さんのことは、どのぐらい知っていましたか?
「草間彌生という名前とその時の映像作品が結びついたのは、美大に入ってから。それまでは、“何か分からないけどすごいもの”としてインプットされていたんです」
----知識より体験として草間彌生に出会っていたんだ…。草間さんのどこが好き?
「作品が好き。可愛い!」
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