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でも、まず内橋さんっていうのは、音楽家じゃないですか。自分の演奏活動とか作曲とか以外に、今までそういうニュー・ミュージック・アクションであり、F.B.I.であり、BRIDGEを運営していくNPOビヨンド・イノセンスもあるし、自分の個人的な音楽活動以外で、もう相当長い間、僕が知っている限りでも、もう6、7年以上は、継続的に同じ方向をむいてやっていると思うんですけど、これからその、今、手にしたいろんなものをもって、どんなふうに、何をやっていこう、みたいなのは?

それはねぇ、いつもやりながら考えるんですよね。だからやっているうちにいつもぽわーんと浮かぶことがあるんですよ。あ、これやったら面白いかも、とか。そういうふうなのものが浮かんだら、浮かんだ時にはそれを具体化するようにすぐ動くようにしています。だから一番はまず思い付くことや、ひらめかないと何にもならないわけだけど、それって何がその時に必要かってことだと思うんですよ。今、これをやってる中で、何があればいいのか。具体的には。フェスティバルっていう発想も、ワークショップをやっている中で、結局それを拡大したものをやんなきゃだめだなっていう風に思ったからやった。全部そういう流れで来ているので、その時に必要なもの、次に必要なものに手を出しちゃう。だから、思い付けば多分、何でもやると思うんだけど。(笑)ただ、このままこれをどんどんどんどん拡げて行きたいとは思うんです。あと、ここに出入りしている面白い若い音楽家の人たちがいっぱいいるんだけど、やっぱり関西っていう、東京とかに比べて圧倒的に断然、厳しい場所だから、いくら面白いことやってても認知されないところがあるわけですよ。よく御存知だと思いますけど。(笑)東京でやっていればね、もっとどんどん拡がっていくようなところもあると思うんだけど、関西にいると、結局このへんだけで拡がっているだけで、ここからもっと他のところにはなかなか行かない。それをまず、何とかしたいと思ってます。そのためのF.B.I.でももちろんあるし、そういう意味では関西の面白い人間をどんどん紹介したいと思っているし、こんな面白いやついるっていうことをね。そういう意味で、かなり出来て来たと思うんですけど。やっぱりもっとそれをやんなきゃって思う。今でもお客さんは東京からもかなり多いけど、もっともっと見に来てよって。いろんなことをやってるっていうのをもっと知ってもらいたいな。ここだけで起こっているというふうに終わらせたく無いな。でも、それはどうしたらいいのかっていうのは、まだ分からない。東京みたいなやりかたしても、関西では多分ダメだろうし。どうやって、面白い人たちをどんどん出して行こうかなって。それを考えています。

ニュー・ミュージック・アクションみたいなものってね、内橋さんが提示した、ひとつのアプリケーションみたいなもんだと思うんですよ。

あぁ、うまいこといいますね。

で、アプリケーションって、勝手に自分で使えるようになるじゃない。東京で何かやったひとがいるみたいに、このやり方っていうのを、実際に参加した人たちが、またいろんなところで、違う名前で同じようなことを始めて、それがまた繋がっていくっていうことが、現実的に面白い状況で、拡がっていきそうだなと思うんですけどね。

そうかも知れないね。それがどんどんかたちが変わっていってもいいんだよね。どんどんバージョンアップしていってもいいと思う。いろんな形、まったく違うアプリケーションにかわっちゃってもいいんだけど、なんかこう、面白いことが起こったことが、いろんなとこに飛び火していくっていうのは、多分、すごくいい状況なんじゃないかな。特にそれが飛び火するような状況だといいんですよ。

それとあとひとつ。プロじゃない人で、すごく面白いひとがすごくたくさんいるなっていうのが、すごくなんていうか・・・。

そうそう。だいたい、プロって何だって、思いますけどね。最初ね、始めた頃はね、そういうのも全部ごちゃ混ぜで、ずっとそうなんですけどね。誰が来てもいいってことにしてたんで、ちゃんと仕事しているような人も来てたんですよ。ところが、逆にそういう人はもう来なくなったね。そういう人たちの方が結構、コンサバだったりするんですよ。もう、自分達の世界があって、自分達がやっているものがあって、結局新しいものとか、見たことのないもの聞いたことのないものを知って、どうのこうのっていう欲望がもう無かったりしてね。仕事のないときに行きますよ、とか、そういうノリになっちゃってて。それは違うんじゃないかって。仕事あるから行けません、すいませんってね。要するに僕に謝ってもらってもしょうがないわけだし、自主活動だから、来るー来ないは、自分の自由なわけで、なんで僕にエクスキューズすんのかな、って思うよ。その時点で全然勘違いしてるなって思ったね。だから、本当に来てるやつとか、ずっと来てるやつっていうのは、やっぱりなんかそこで見つけたやつなんですよ。発見しちゃって、もう面白いって思っちゃった人はずっと来るんだよね。で、次どんな人が来るのかなっていうのをほんとに楽しみにしてる。ここのスタッフもみんなそうだけど、そういう人たちの集まりでも、もちろんあるわけですよ。

さっき言ってた、ステージがないっていうところと、プロじゃないっていうところと、なんかこう、すごく僕の中では繋がっちゃうんですけど。ステージがなくても演奏するし、プロじゃなくても、お金は他で稼いで、クライアントなしの仕事、つまり自分で面白い音楽をやっていきたいっていうのが増えてるよね。で、そう言う時に、こういう場所があるっていうのは、すごく重要だなと思います。

ここはもう、さっきも言ったけど、やっぱり発信したいから。ここで起こっていることを知ってもらうためのメディアとかさ、いろいろそういうものを絶対に必要だと思うし。だから、もちろんプロじゃなくていいんですよ。面白いことやってるやつはそれでいいと思うし。そいつがプロである必要は当然ないし。ただ、そいつのやってることが、どれだけの人に伝わってるのかっていうことには意味があって、それは、絶対に伝えなきゃだめだっていう意識が強くある。そのための努力っていうのは、やっぱりしなきゃだめだ。だから、それがもし出来ていれば、今、これだけのインターネット社会だし、例えば世界中どこからでもアクセスできているわけじゃん。そうなれば、世界の果ての果ての人が、ここで起こってる音楽を聞けたりするわけですよ。それってすごい。すでに、そういうものを探しているひとには、ほぼ見つけられるハードも、もうあるから。そうすれば、後はもうこっちは発信することさえすればいい。どういうふうに発信するのかっていうことに頭を使ってね、いろいろチャレンジしていけばいいんじゃないかな。それが今、一番しなきゃいけないことなんじゃないかな。だから、別に東京とかどうでもよくて、いきなり、どこか外国でもいいし、べつに外国がエライわけでも何でもないし。全然知らないところから、いろんな・・・。いまでも来ますよ、メールとか。全然会った事も無い、どこの国だ?みたいなところから、いろんなメールもらったりとか。「こんなことを僕はやっています」とかさ。それで、音楽を聞いてください、とか。いっぱいいるしそういうの。いつも送ってもらって聞いてるんだけど。そういうのって面白いなぁって、知らない人どうしでもいろんな交換ができるんだって。一緒にできるきっかけがあるんだって。それが、サウンドメールっていうプロジェクトの発端でもあったんだけど。一緒にその場で共演はできないけど、何か送ってもらってそれと一緒にやるっていう。それはもう、離れててもできることだから。そこで知り合った面白い人たちも一杯いるし。どんどん拡がって行ってるなって思います。もっともっとそれに加速度をつけたいし。

ほんと、そうですよね。では、最後に何か。

来年はまた3月に、「プール」っていう、いろんなメディアを集めた複合的なものをやります。まだ詳しいことは決めてないんだけど。前は3日間だったから、今度はもっと長い期間やりたいんですけどね。1週間とか10日とか、それぐらいやると面白いかな、と。あっという間だったんでね。仕込み1週間で3日でやって終わったから、ちょっとあんまりにもあっけなくて、大変だったぶんね、たっぷりやれたらよかったなって。今ちょっと後悔してるんだけど。

そういうのもBRIDGEがあってこそでしょうね。

そうですね。ずーっと使えるからできる事で。そういう意味ではここでできる事はいろんなことをやってみたいなって。まだまだいろんな可能性があると思うし。

今日はどうもありがとうございました。

ありがとうございました。

なんか、こんなに内橋さんと面と向かって話すのは初めてかもしれなくて。

本当だね。