ちなみに、いま黒沢清監督の『アカルイミライ』を準備しているんだけど、黒沢さんに、映画とは何か?って質問をぶつけたら、彼は、他人と同じ時間を共有して、映画館で映画を観ることが映画です、と答えたんです。一人でビデオを観るのは映画ではなく、社会においてどういう存在なのか確認しにいくことが映画だ、と。そこで彼がメディア論を語ったことに、自分と同じ70年代サブカルチャーのDNAを感じ取りましたね。同い年なんだけど。
そう、思えば僕はいま、寺山さんが死んだ年齢(47歳)と同じ。そして天井桟敷には10年いたけど、アップリンクはもう15年やっている。ここで初心に返って、面白い文化を発信する新しい場所を本当に作りたいんですよ。一つじゃなく、いっぱいね。不景気のいまだからこそ、不動産王になって(笑)。渋谷でアップリンク・ファクトリーを7年くらいやっているけど、あそこは、ある時は映画館、ある時はギャラリーというように、一つのスペースで用途を変えているから、運営が厳しいんです。やっぱり総合スペースでないと。それには広い土地が必要なんだけど、物価の安さも含めて、大阪には、いま東京より可能性を感じるんですよね」 |
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