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『またの日の知華』
作品解説・原一男監督略歴

『またの日の知華』  作品解説

2004年/劇映画/35ミリ/カラー/114分/配給:ユーロスペース+疾走プロダクション
◎企画・監督:原一男 ◎製作・脚本:小林佐智子 ◎撮影:岡雅一 ◎編集: 鍋島惇 ◎出演(知華A)吉本多香美、(知華B)渡辺真起子、(知華C)金久美子、(知華D)桃井かおり、田中実、田辺誠一、夏八木勲、吉岡秀隆

【物語】
元機動隊員の良雄は、60年安保闘争時に身も心も傷付いていた。そんな良雄にとって従妹の知華は、いつも眩しい存在だった。知華は、良雄と本当の兄弟ではないかというファナティックな幻想にとらわれていた。体操選手となる夢を断念し、中学の体育教師となった知華と、良雄は結婚する。1969年1月、全共闘運動で揺れる東京、知華は純一を出産する。教師として、母として、妻として、懸命に生きようとする知華だったが…。
郷里の母校に勤めるようになった知華に、新任体育教師、和也が接近してくる。シラケ世代の和也に、反発しながらも惹かれてゆく知華。優等生の仮面を捨て、和也との性の開放感に浸った知華は、生き生きと蘇る。噂の渦中、昂然とダンス部の指導に打ち込む知華。1972年2月、自宅療養を許された良雄が帰ってくる。激情に駆られた和也は、深夜、知華を呼び出す。テレビでは、夜通し連合赤軍あさま山荘事件が写し出されていた。
知華の教え子、幸次は、姉の率いるアナーキーなゲリラグループに属していた。アジトが内ゲバで襲われた夜、幸次は知華と再会する。教職を辞した後、知華は借金に追われるように単身で上京していた。知華を慕うようになる幸次。和也から手切金を受け取った知華は、豊川に住む幸次の祖母の元に身を寄せる。1974年8月、手筒花火をやり遂げた幸次は知華と結ばれる。翌日、東京丸の内のビル街で過激派による爆破事件が起こった。知華と幸次は、新しい出発を思い立つ。
流れ者の瀬川は、場末のスタンドバーで売春の客として知華と出会う。日本海の孤島・飛島の出身だという瀬川と知華は、深い仲になってゆく。その一方で知華は、和也との生活も続いていた。小学生になった純一が訪ねてくる度に、瀬川や和也と、束の間の親子の時を過ごした。瀬川は預けていた金を、知華が使い込んでいることを知る。瀬川はイカサマ賭博を口実に知華を旅に誘った。旅の終わりは飛島。海には、真っ赤な夕焼けが燃え落ちる。

原一男監督
   略歴
1945年、山口県宇部市生まれ。
東京綜合写真専門学校中退。1972年、小林佐智子と共に疾走プロダクションを設立。1998〜2000年、早稲田大学文学部客員教授。1995年よりCINEMA塾を主宰。
●作品
『さようならCP』(1972年)  『極私的エロス・恋歌1974』(1974年)トノンレバン独立国際映画祭グランプリ
『ゆきゆきて、神軍』(1987年) 日本映画監督協会新人賞、ベルリン国際映画祭カリガリ映画賞、報知映画賞監督賞、ブルーリボン賞監督賞、毎日映画コンクール監督賞、パリ国際ドキュメンタリー映画祭グランプリ
『全身小説家』(1994年) キネマ旬報ベストテン1位、キネマ旬報賞日本映画作品賞・監督賞、毎日映画コンクール日本映画大賞、報知映画賞作品賞   『またの日の知華』(2004年)
TVドキュメンタリー『映画監督浦山桐郎の肖像』(1998年) 放送文化基金賞 ビデオ作品『学問と情熱 高群逸枝』(2000年)教育映像祭優秀作品賞
●著書
『「ゆきゆきて、神軍」製作ノート+採録シナリオ』(1987年)(話の特集刊)   『踏み越えるキャメラ わが方法、アクションドキュメンタリー』(1995年)(フィルムアート社刊)
『映画に憑かれて浦山桐郎 インタビュードキュメンタリー』(1998年)(現代書館刊)





















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