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06 ベルリンの「今」を切り取るダンス

+ + + + + + 記憶のゴミ捨て場『現在へ遡行せよ』-"Back to the present" by Constanza Macras-


“ドイツの”コンテンポラリー・ダンスがやってきた

 今年は 「日本におけるドイツ年」ということになっていて、夏から来年春にかけて、ドイツからいくつかダンス作品が来日します。関西で見ることができるのはその5つ。こういった国の経済支援で行われる文化プロダクトの大量移動もいつまで続くかわからないことだし、すわこの機会に海を越えやってくるダンスに足を運ぼうというときに、ちょっととまどうのが、この“ドイツの“という枠組みじゃないでしょうか。コンテンポラリー・ダンスという言葉が、フォーサイスやバウシュなどの名前と結びついて日本に入ってから十余年。いま、“ドイツの”ダンスはどんなことになっているのか。あまり情報は入ってこないけど、かの地で行われていることはそもそも面白いのか、と。

 もちろん面白いんです。ただし、“ドイツの”といった大枠から手繰り寄せられるモダン・ダンスの伝統といったイメージやら、クラシックの最先端、ポスト・ピナ・バウシュといったコンテクストをいったん取り払ったところで。

 こういった枠組みによりかからなければ、時代をともにしつつ、違う生活に根ざす「今」がどんなやり方で切り取られているかといったところで、わたしたちは個々のダンスに向かい合うことができます。それはコンテンポラリー・ダンスの醍醐味の一つだと思うのだけれど、その時にこの「今」そのものが、たぶんわたしたちが感じているのより、長いスパンの記憶に支えられているのがドイツ。そして、文化の多様さによって常に動きつつも、なんとはなしに停滞する空気を漂わせているのがベルリン。

 そう考えると、アルゼンチン出身のコンスタンツァ・マクラスConstanza Macrasと異邦人集団「ドーキー・パークDorky Park」は、かなり注目の存在なのです。特に今回上演された『Back to the present』は、タイトルが示すように、「今」に固着しようとするマクラスとパフォーマーたちのリアルな闘いをコラージュしたような作品だし、ベルリン中部にあるかつてのデパートで制作された、いわゆるサイト・スペシフィックな作品でもあるからです。そこで今回のdance+は、ベルリンの文化/ブンカやらダンスやらを迂回しながら、マクラスの作品が観客に向かって解き放つ、かの地の「今」に近づいてみたいと思います。

 合い言葉は、ダンスと一緒に『現在へ遡行せよ』!


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