日々是ダンス。踊る心と体から無節操に→をのばした読み物 |
|
|
|
28 京都の暑い夏2007ドキュメント Vol.3
京都の暑い夏2007/第12回京都国際ダンスワークショップフェスティバル
12th Kyoto International Dance Workshop Festival 13 April-13 May
2007年4月13日〜5月13日
−参加者人数データ+アンケート調査データから、今年の“暑い夏”を振り返る−
by 亀田恵子 [ATL]
今年で12年目を迎えた通称「京都の暑い夏」。参加者からの体験レポートに加えて、アンケートデータからその軌跡を振り返ってみたい。
【参加人数】全参加者数(のべ人数)は、全91 クラスで1518名であった。
*クラス内容別参加者の人数割合は下記の通り。
A. ダンスメソッド 382名(25%)17クラス
B. ボディワーク/ベーシック 205名(12%)13クラス
C. コンタクト/パートナリング 453名(31%)25クラス
D. クリエイション 190名(13%)18クラス
E. カンパニークラス 56名(4%)6クラス
F. ビギナークラス 149名(10%)9クラス
G. キッズ・クラス 83名(5%)6クラス
もちろん、これらの参加者数はクラス数の多さに比例する。そこで、1クラスあたりの平均参加者数でカウントすると、次のように変化する。
*1クラスあたりの平均参加者数
A. ダンスメソッド 22名(21%)
B. ボディワーク/ベーシック 16名(15%)
C. コンタクト/パートナリング 18名(17%)
D. クリエイション 11名(10%)
E. カンパニークラス 9名(9%)
F. ビギナークラス 17名(15%)
G. キッズ・クラス 14名(13%)
この平均参加者数からは、単年度評価ではあるが、次のような傾向が見えてくる。
・ダンサーの向上心に応えるダンスメソッド、コンタクト/パートナリングの受講割合が最も高い。
・ノン・ダンサーや初心者も受講可能なボディーワーク/パートナリングやビギナークラスへの受講割合もそれに次ぐ。
・総じて、つくることより踊ることへの関心が高い。
*実施会場別の参加者数は下記の通り。
・京都芸術センターフリースペース/43クラス/913名
・京都芸術センター講堂/22クラス/333名
・大阪市立芸術創造館/21クラス/207名
・滋賀会館/5クラス/65名
【アンケートデータより】
・ 提出されたアンケート総数は54件。各クラス、最も参加の多かった日の受講者数(合計327件)から推計すると、回収率は16.5%となる。
・回答のあったアンケートの66%以上が“初めての参加”であることから、今回のアンケートデータは「京都の暑い夏」に初めて参加した方々の意見の集約になることを、あらかじめ念頭に置いて考察する必要がある。
・アンケートの回答率は、初参加者・初心者が高くなり、リピーター・高度なテクニックを学ぶワークショップほど低くなっている。
・とても特徴的だと思われたのは、「ヨガクラスを受けてみたかった」「ヨガワークに関心があった」といった“ヨガ”への関心の高まり。アンケートへの回答率が2番目に高かったのがB-1サンチャゴ・センペレ(仏)のヨガ・ワーククラスであることから、初参加・初心者がヨガへの関心を高く持っていると言えそうだ。
・クラス選択の理由は、次のようなタイプに大別される。
<未知へのダンスメソッド,ダンサーへの興味/ヨガ・呼吸法,からだづくりなど自分自身への身体へと向かう興味/自分に不足しているものの吸収/ダンスへの好奇心/人からのすすめ/時間・場所など物理的な条件が自分に適していた>など。
・ワークショップの感想では、“しんどかった”“ヘコみました”といったダンスのハードな面を経験し、“どんなに大変なことかわかった”という率直な“気づき”を得た参加者が多かったようだ。その気づきは“楽しく過ごせました”“すごく気持ち良かったです”“来年も機会があればゼヒ参加したい”といった前向きなモチベーションへとつながっている。
・感覚的な気づき以外にも“ダンスに対する構文を確認できた”“大変勉強になりました”といった具体的な自分へのスキルとして確認できた参加者の声や“ホスピタリティやケア、自分と他者についても実感として考えることができてうれしかった”という新たな視点を獲得する参加者もいた。
・講師に対する評価は、それぞれのオリジナリティあふれるワークショップ内容への評価と同等(もしくはそれ以上に)講師の人柄や個性・参加者との相互信頼がもたらす“親密で和やかな雰囲気”が評価されていることが印象的。“レッスンの内容やダンスへの考え方がそれぞれ個性的で、豪華な企画”“講師の人たちの教える意欲をとても感じた”“チョン様(チョン・ヨンドゥ/韓)は東洋人の琴線に触れる何かを感じます。”“イニャーキさん(イニャーキ・アズピラーガ/ベルギー)、ドラマティックで美しいです”“また会いたい”など。
・海外の講師に関してはことばの違いについては“英語をもっと勉強しようと思いました”という意欲を持った参加者がいたり、“英語は分からないのですが、先生の伝えたいことがとても理解できたので……外国人の先生でもどんどん受講していきたい”という参加者もいた。
・ビデオサロンに関しては、子連れOK・ごろ寝OKといったリラックスムードが好評。一方で、「こどもと一緒だとむずかしい」という意見もあり。今のやり方を工夫する必要があるが、対象を拡げる有効な企画のひとつである。司会者の視点も評価された。
・今後どのようなワークショップを希望するか、という問いに対しての要望を下記に列挙する。
<ビギナークラス/舞踏/ヨガ/インド舞踊/野口体操/バレエヨガ/大人数によるコンタクトテクニック/アレキサンダーテクニック/山下残さんのワークショップ>
また、1年に1度のイベントだけでなく定期的な学びの場を求める声があった。
----------------------------------------------------------------------------------------------
−アンケートデータから『京都の暑い夏2007』を概観する−
今回、思いがけずこのイベントのドキュメント記録グループに参加することができた。すでにリリースされたvol.1の参加者による体験レポートに加えて、“参加者数データ +アンケートデータ”によっても、2007年度の“暑い夏”を振り返ってみたいと思う。
アンケートの回収率は、前述のように16.5%ほどと低い数値にとどまったが、回答者の内訳をみると66%以上が“初参加者”やコンテンポラリー・ダンスの“初心者”であることがわかった。リピーターの意識としては、住所はすでに登録されているので記入する必要性が薄かったことと、より深い学びの段階に入っていくほど言語化することが複雑になっていくという心情があらわれた結果であろう(ドキュメント記録グループの体験レポート執筆者からも報告があった)。よって、この“ふり返り”も初参加者+ダンス初心者の視点から全体を推察するということを念頭において進める。
今回、とても特徴的だと思われたのは、「ヨガクラスを受けてみたかった」「ヨガワークに関心があった」といった“ヨガ”への関心の高まりが見られたこと。難しいテクニックを覚えることに抵抗がある初心者が、ダンスの門を叩くきっかけとしてヨガは適しているのかも知れない。ワークショップ後の感想でも“体1つ1つの伸びに対する意識が深まった”“呼吸を深くできた”など、自分の身体と向き合うことで“気づき”を得た参加者が多かった。また、ビギナークラスではテンポよく身体を動かすことの“楽しさ”や、日常とは違う身体の動きに“おもしろさ”を発見した参加者が多かった。“しんどかった”“ヘコみました”といったダンスのハードな面を経験し、“どんなに大変なことかわかった”という参加者もいたが、そこから“でも、楽しく過ごせました”“来年も機会があればゼヒ参加したい”といった前向きなモチベーションへとつなげているのが印象的だ。
15種全91クラスものバラエティ豊かなワークショップ内容に加えて、講師の個別の魅力もこのイベントの盛り上がりを大きく支えているということもあわせて記しておく。“レッスンの内容やダンスへの考え方がそれぞれ個性的で、豪華な企画”“講師の人たちの教える意欲をとても感じた”“英語は分からないのですが、先生の伝えたいことがとても理解できたので・・・外国人の先生でもどんどん受講していきたい”“また会いたい”など、講師の人柄や個性・参加者との相互信頼がもたらす“親密で和やかな雰囲気”が評価されていることが、このイベントの成功ポイントになっているようだ。
|
|
|
|