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ほのぼの 松岡永子
 実に久しぶりのターザングループ。
 結成16周年記念公演、だそうだ。なぜそんな中途半端な年かというと…15年目は忘れてて気づかなかったから。(とDMにあり)
 そういう間抜けな(失礼)とぼけたことができる、いわゆる「天然」なところがターザングループの魅力だな、と思う。そういうのは好きな人もそうでない人もいるだろう。個人的にはとても好き。みた後、とても気分がいい。こんなに後味がいい劇団は他に見あたらない。
 今回のお話はシチュエーションコメディだが、奇抜な設定やどんでん返しなどの点ではもっと巧妙な芝居はいくらでもあると思う。
 ただ、テンポやチームワークの良さもさることながら、みているうちに、この世には悪人なんて一人もいないかもしれない、とか、今日わけもなく意地悪されたと思ってたけどあれはわたしの勘違いかもしれない、とか、一瞬でも本気で思わせてくれるほのぼの感。これは類を見ない。

 ワンルームマンション。二階に住んでいる姉妹が足を踏みならし「うるさいぞー」と叫んでいる。三階の音楽、小さくなる。チャイムが鳴り、男が訪ねてくる。「あのー、音のことなんですけど…」足を踏みならしたことを注意しに来た一階の住人だと思った姉妹は、部屋に招き入れ「三階からの音、こんなに響くんですよ、常識ないですよねー」といった話をする。男は三階の住人で謝罪に来たのだが、言い出せなくなり、一階の住人のふりをする。そこにNHKの集金人が来て、受信料を払う気のない姉妹は応対を男にまかせて客のふり…

 誤解に誤解の重なるスラップスティック。

 結局一階の住人も現れ、男の嘘はばれるのだが、みんな、男を追いつめないよう、自然に本当のことを言わせることに心を砕く。他人を思いやることが当然で自然。
 男自身もとてもいい人。自転車置き場に行くと、つい全部の自転車を整理してしまう。成り行きで取り込んだ一階の布団を、物干しをきれいに拭いてから干し直す。
 NHK集金人のふりをしていた(おそらくは泥棒未遂)男も含めて、悪意の存在が感じられない。それが嘘っぽくなく、当然のことのように感じられるのは、どうしてだろう。劇団の人柄、だろうか。芝居とはもともとつくりものだし、役者は演じているものだが、そのすぐ向こうに本物の人の良さが透けて見える気がする。

 ラスト。紐をつけた籠が三階から降りてきて、それぞれの部屋のお菓子などをおすそわけしあう。こんな近所づきあいがあればいいな、と素直に思える。たとえそれが現実的でなくても。

 NHK教育テレビの小学生向けドラマをみているようでもあるが、終わった後、優しい気分になることは確か。カップルでみるにはおすすめの劇団。


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