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2004年2月から、関西の舞台芸術の活性化をめざし、イベントを行っています。
不定期ではありますが、ご興味のおありの皆様は、いつでもご参加ください!

2004年ベストコレクション

各執筆者が、2004年の観劇体験の中から、各基準でベストワンと呼べる劇団、公演、役者などを選びました。背景や趣味嗜好の異なる執筆者たちの意見をお楽しみください。そして、2005年の観劇の参考にしていただければ幸いです。

池上宣久
2003年はシベリア少女鉄道を発見した年で、2004年はシベリア少女鉄道を堪能した年でした。関西に来ないので、公演の度に東京へ行くこと6回を数えました。ほぼ後半1時間が全てオチという構成がミステリ者には堪えられません。

栂井理依
近鉄劇場の閉館まぎわに上演された、劇団☆世界一団の「空飛ぶ遊園地」。谷川俊太郎の声の出演や、さまざまなジャンルのアートを巧みに取り入れた演出の素晴らしさもさることながら、次作「不思議な森のチュチュ」でしばらく休団することが決まった劇団☆世界一団のエポックメイキングともなる作品。

西尾雅
04年のベストは年末のこけら落としラッシュ、奇しくも距離のほど近いミナミに3劇場がオープンしたこと。どれも力の入ったオープニング企画、今後の展開に弾みをつける。アリス零番館‐IST「私・欲・情」は舞台上の女性ソロパフォーマンス2作品を並べ、インディペンデントセカンド「三人芝居」(別冊トランスパンダ+)はチェーホフを大胆に現代口語解釈、精華小劇場「ときはなたれて」(燐光群)は事実の重さが胸を打つ。

平加屋吉右ヱ門
東京へ拠点を移す「鹿殺し」。岸田戯曲賞でも候補となり、OMS戯曲賞では多くの評価を集めながら次点に甘んじた「くじら企画」の大竹野氏。ART COMPLEX 1928を丸ごと宇宙空間に変えた「電視游戲科学舘」。振り返れば、素敵な作品がたくさん。敢えて1本を挙げるならば、「南河内万歳一座」の「みんなの歌2」。文字通り舞台全体と客席を揺さぶる一座一体となったパワーと、テーマを追い続ける粘り強さに一票。

松岡永子
どんな舞台がよかったか、と訊かれると他人が知らないものを挙げたくなる。修練を積んだ役者とテクニックのあるスタッフがそろった有名劇団が面白いのは当たり前だろ、と思うわたしはへそ曲がりである。そういう意味で挙げやすいのは若い劇団、のはずなのだが。正直、小粒なものが多かった気がする。みんな上手でお利口で器用…旗揚げ公演などに行くことが減ったせいかもしれないが。これは天才なのか大馬鹿なのか、と判断に苦しむものを今年は見たい。

都合により、浅川夏子はお休みします。



下記イベントは終了いたしました。
お越しいただきました皆様、たいへんありがとうございました。


観るべきか、語るべきか
Culture Critic Clip第4回ステージサロン

HEP HALLプロデュース「ハムレット」
日時:12月19日(日) 14時開演 
場所:HEP HALL周辺(終演後ロビーで案内)

終演後に感想を語る会として、ほぼ2ケ月に1回のペース(努力目標)で続けているステージサロン。本年の最終はヘップ版「ハムレット」の千秋楽に設定しました。お芝居が好きな方は誰でも参加OKですが、基本的に公演の感想が中心なので、できれば今公演の「ハムレット」観劇していることが希望です。開催日と予定が合わずとも、事前に観劇してステージサロンに駆けつけるのも大歓迎。最終公演回の設定は観劇のチャンスを増やす意味もあります。「ひとこと言いたい」感動を分かち合うあるいは「他の人はどんな感想を持ったのかしら」と話を聞くだけ、何でもオッケー!! ふるっての参加をお待ちしています。

この「ハムレット」に私たちが注目するのは次の2点。小劇場のロングラン公演であること。既にアートコンプレックスでは電視遊戯科学館で成果をあげていますが、週末の短期間に公演が集中する傾向に変わりはありません。評判を聞いてゆっくり劇場を訪れることができるロングランは観客も助かるし、数多く本番をこなす役者にも得るものが多いと信じます。劇場主宰のロングランを大阪でもぜひ成功させたいものです。

そのアトコン電遊ロングランと異なるのは劇団公演ではなく、全面的な劇場プロデュースであること。オフィーリア役を公募、関西小劇場の精鋭をキラ星のごとく取り揃えたラインナップにあります。OMS戯曲賞を上演したOMSプロデュースに少し似ているかもしれません。キャスティングはいずれも楽しみなハマり役、とりわけ所属のエビス堂大交響楽団では看板・山本操に続く2番手の浅田百合子の主役抜擢(しかも男役)に個人的に期待しています。

TAKE IT EAZY!の中井由梨子の翻訳担当も驚き。「SHAKESPEARE」でシェイクスピアの贋作の上演をめぐる顛末を劇中劇を交えて描き、随所に名台詞を引用して並々ならぬシェイクスピアへの傾倒を示した才気は適役というより他ありません。アンサンブルの美しさでは定評ある大塚雅史の演出とあいまって、かつてない斬新なハムレットが誕生する予感がします。師走は寒さを打っちゃり、赤い観覧車の下に集まりましょう!!劇場こそひと足早く夢を叶えてくれるサンタクロースその人かもしれません。

◆公演は、全席指定 一般2000円 学生1500円 (前売当日共)です。
 公演チケット代以外の参加費無料、予約は不要です。
 劇場外での開催になりますので、飲食実費はご自分でお支払いください。
 詳しくは当日終演後、劇場出口にて、ご案内いたします。

◆HEPHALLへの最寄駅は、JR大阪駅、阪急電車各線梅田駅、地下鉄御堂筋線梅田駅です。
 【住所】〒530-0012 大阪市北区芝田1-1-4 阪急ターミナルビル7F 【電話番号】06-6373-6866


王者舘を語りつくせ!
Culture Critic Clip第3回ステージサロン

少年王者舘「こくう物語」
日時:10月3日(日) 14時開演 
場所:一心寺シアター倶楽

第3回ステージサロンを少年王者舘「こくう物語」10月3日(日)2時の回(一心寺シアター倶楽)終演後に開催します。地元活性化をめざし、関西の劇団を主に取り上げているステージサロンですが、名古屋発のユニークな表現にも目を見張ります。近畿から広く中部圏まで視野を広げてもいいのではないでしょうか。思えば王者舘の大阪公演とOMSには長い歴史的つながりがありました。OMSなき後、去年から会場を一心寺シアター倶楽に移しての大阪公演に拍手を。継続する意思への賛同。それもまた今回王者舘を取り上げる理由のひとつです。

第1回くじら企画「密会」は再演博のアフタートーク後、打ち上げにお邪魔しての雑談、第2回鹿殺し「愛卍情」は近くのジャズ喫茶店に移動しての語らいとささやかな集まりは、まだ試行錯誤の段階です。次回は新たな試みとして王者舘に詳しいゲストをお呼びすることになりました。「演劇ぶっく」の関西コラムを担当する吉永美和子さんです。自他ともに認める王者舘ファンの吉永さんから天野天街氏の意外な素顔が聞けるかもしれません。ぜひ、お気軽に参加ください。

◆公演は、前売3300円、当日3500円です。
 公演チケット代以外の参加費無料、予約は不要です。
 ただし、劇場外での開催の場合、飲食実費はご自分でお支払いください。
 詳しくは当日終演後、劇場出口にて、ご案内いたします。

◆一心寺シアター倶楽へは、
 ●JR・地下鉄御堂筋線・地下鉄谷町線 天王寺駅正面口より北(右方向)へ谷町筋を徒歩5分。
 ●地下鉄堺筋線恵美須町駅を南側の出口より降りて、浪速警察署の角を東(左方向)に曲がり、
  西に歩くと右手に一心寺が見えます。一心寺の入り口を素通 りして右に曲がって50m。駅より徒歩約9分。
 【住所】〒543-0062 大阪市天王寺区逢阪2-6-13 【電話番号】06-6774-4002


Culture Critic Clip第2回ステージサロン
劇団鹿殺し「愛卍情」
日時:8月1日(日)18:00 千秋楽の終演後
場所:シアトリカル應典院

そもそも「鹿殺し」などという「普通ちょっとひくやろ」という劇団名に加え、個性的な役者、過剰にエモーショナルな演出と、最近ではちょっと見かけない希少価値のある「劇団鹿殺し」。
CCCのメンバーも、旗揚げ当初から、荒削りながらも垣間見える彼らの秘めた可能性に、注目してきました。
満を持して、今回、その「劇団鹿殺し」をテーマに、ステージサロンを開催します。観劇後、まだ熱気の残る頭で、思う存分、語り合いましょう。

◆公演は、前売2300円、当日2500円です。
 ステージサロンに関しては予約は不要です。
 終演後、劇場の入り口にて、CCCメンバーでお待ちしておりますので、お声をおかけください。

◆シアトリカル應典院へは、
 地下鉄・近鉄日本橋駅よりアクセス 8号出口から東へ徒歩6分。
 地下鉄谷町9丁目駅よりアクセス 3号出口から西へ徒歩8分。
 【住所】〒543 大阪市天王寺区下寺町1-1-27 【電話番号】06-6771-7641

●第2回ステージサロンの報告●

 去る8月1日、劇団鹿殺し「愛卍情」をテーマにした第2回ステージサロンを、開催いたしました。
 18時開始の公演は、千秋楽とあってか、客席はほぼ満席。終演後も、会場であるシアトリカル應典院の受付ロビー周辺では、劇団鹿殺しの役者さんたちがぐるりとファンに囲まれ、質問責めにあっている光景が見られました。私たちは、その場で数名の参加者を得て、近くのカフェへ移動。劇団鹿殺し初見の方もいれば、ファンクラブに入っている方もいて、今回の「愛卍情」だけではなく、他の作品や役者について幅広く有意義な意見交換をすることができました。

* * * * * *

 殺害したうえに眼球を奪い取るという連続殺人事件。犯人である女性は、なぜそのような猟奇行為に及んだのか−。その謎を探る担当刑事は、彼女が高校時代に愛した女性であることに気付いた。刑事が彼女を問いつめる場面と、ふたりが共有しているひとりの青年の思い出が交互に描かれていく。
 担当刑事とその青年とは、高校時代、同じレスリング部に所属していた。同性ながらも彼を愛したその青年は、彼の愛が自分の友人でもあるひとりの女性へ向けられていることに気付き、失明に瀕した彼に自らの眼を与えるため、命を絶ったのだ—。

 汗を流しながらからみあう、ランニングシャツ姿の男たちの身体に、まず圧倒される。肉体を使った芝居と言えば、関西では「南河内万歳一座」が挙げられるが、たくさんの男たちが裸になる万歳一座に対し、鹿殺しのそれは、少数精鋭。つまり、量より質。例えば、身体能力や技術云々は別として、主役級の役者たちが印象的な身体を持っているという点では、ダンスに通じるものがあった。
 そして、汗の流れる身体というものは、その年頃特有のひたむきな純情、一途さをイメージさせる。オリンピックを目指し、励ましあっていたレスリング部の仲間と応援する同級生の爽やかな青春であったはずが、そのうち一人の死とその後の猟奇殺人にまで至る結果へ発展してしまうという流れは、十分にバイオレンスなのだが、最後まで見終わるとどことなく清々しい。それは、役者たちの一生懸命さが感じられるからだろう。

 つか芝居の影響を受けているためもあるだろうが、今回の作品に関しては、ストーリー展開や構成、役者の演技の質など、オーソドックスな印象を受けた。しかし、身体を起爆剤として、さらなる高い表現を目指そうという意気込みも感じる。さまざまな意見が出たが、古さと新しさが混在している舞台、それが鹿殺しの魅力なのだ、というところで落ち着いた。

 他に、魅力に感じた点としては、シンプルだけれどもこだわりぬかれた装置、音響、照明の素晴らしさ、サービス精神の旺盛さなどがあげられていた。一方では、物語進行にあたって時間軸のばらつきがあって不親切であるということ、そのためか所々、登場人物の感情が飛躍しているように感じられ、リアリティが薄いことなどの批評もあった。

* * * * * *

 ステージサロンに参加して、いつも興味深いと感じるのは、参加者の年齢や職業、観劇歴が多岐にわたると、さまざまな分析や比較の意見が出てくることです。今回も、関西の他劇団との比較が論点として挙がり、現在、劇団鹿殺しの表現がどういう方向性にあるのかが、なんとなく見えてきて、今後の東京公演、次回公演が楽しみになってきました。(栂井)


「密会」しません!?
Culture Critic Clip第1回ステージサロン

くじら企画「密会」
日時:2月21日(土)19:00の回 終演後
場所:ウィングフィールド

公演終了後、くじら企画の作・演出を手がける大竹野正典氏と、ウィングフィールドのオーナー福本年雄氏のアフタートークが予定されています。
私たちCCCのメンバーも参加します。ご一緒に、おふたりのお話を聞きませんか? 
お時間があれば、さらにその後のステージサロンにもご参加下さい。
劇団と劇場のご好意により、その場でステージサロンをひらきます。CCCをご紹介するかたわら、終わったばかりの公演や広く舞台全般について歓談の時間を持ちたいと思います。

◆当日その回の公演を観劇した方ならアフタートークへの参加は自由です。
 ステージサロンに関しては予約は不要です。
 (公演は前売2000円、当日2300円、中高生1500円)

◆ウイングフィールドへは、地下鉄心斎橋から徒歩7分。電話は、06-6211-8427です。

●第1回ステージサロンの報告●

CCC発足時に目標のひとつとしたステージサロンが、くじら企画「密会」2月21日夜公演後に開催されました。かつてOMSのいくつかの公演では観終わった観客と劇団の交流の機会がもたれ、作品内容の解説や裏話を聞くことができました。観客の素朴な質問あるいは要望は創り手側の刺激にもなり、観客同士で言葉を交わすキッカケをも与えました。さらに幅広い交流を願ってCCCが参加した第1回ステージサロンの模様をご報告します。

当日の公演回終了後にはアフタートークが開催され、上演が済んだばかりの舞台上に劇場オーナー福本年雄氏と作・演出の大竹野正典氏それに次週の公演を担当するBlue,Blue,の門田剛氏が並ぶ。福本氏は再演をテーマに演劇祭を企画した意図、大竹野氏は初演時と大幅に脚本が異なった顛末を話される。門田氏が大竹野氏に尋ねた「なぜ犯罪を取り上げるのか」がナイス。公演本番中は、通路すら臨時の客席として開放するほどの混みよう。観客の約半数40人(推測)が、終演後も帰らずトークに聞き入る。最後に紹介された私たちCCC、おこがましくも舞台上に立たせていただき、グループの由来と趣旨、活動内容を手短に説明する。本ネットの掲載内容を、ダイジェストで一方的に話しただけだが。

その後は、劇団のご好意による打ち上げに参加。心づくしの手料理を食べたり差し入れの酒ビールを飲んだり。大竹野氏を囲んで質問したり、仲のいい他の劇団関係者同士が集まったり、いくつかの輪になって会話がはずむ。人数が多く、遠くの会話は承知していないが、あっという間に時間が過ぎ去ったことは確か。劇団関係者の中にCCCを既に見たという人もいてうれしい限り。もっと宣伝にこれ努めなくちゃ。

個人的には、まだ学生だという観客の「事件があった時は私1歳でした」の感想がショック。CCCの中にも世代差があり、作品のモデルとなった深川通り魔殺人事件を同時体験としてではなく記録としてしか知らない人がいるのだとあらためて教えられる。時代が変わっても、犯罪がなくなることはない。だからこそ、犯罪に独自のアプローチを続ける大竹野氏の試みがまた貴重に思えた瞬間でもあった。(雅)

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