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相手あればこそ存在を確認できる自分 西尾雅
劇団名を裏切らない文学的香気にじむ世界。生きることに悩み苦しむ現代の青春像。孤独と不安からようやく光明を見つけ出す彼ら。内からの問いかけに誠実に応える表現者の切実に共感。

自傷行為をくり返しては電話で助けを求めるマコト(佐藤)。エイズ死も間近と告白する彼女に惹かれ、部屋を訪ねる友人たち。芝居を続けるナオ(青木)と別れたばかりのその元恋人エダ(渡辺)、ナオの妹ユキコ(河村)とその元カレで今はただのボーイフレンドのヒデオ(立石)、そしてナオの元芝居仲間サナエ(志茂)。病弱なナオはベッドのわずかな空間で日がな1日を過ごす、13階の窓に映る夕焼けに残された短い人生を重ねるように。

妊娠を訴えるマコトの相手が誰か不審が広がる。姉から恋人エダを奪ったユキコはエダをあやしむが、エイズ移された不倫相手の死といい無言電話といいマコトの話もどこかあやしい。妊娠もエイズ感染もすべてマコトの嘘、マコトという名前からして嘘なのだろう。姉に引け目を感じていたユキコだが、実は妹がエダを好きと気づいた姉が2人を恋仲にするよう仕組んだと知る。ナオは芝居を辞めたユキコを非難するが、最後には自分も芝居を捨て自己研鑚の旅に出る。人の心は虚々実々、確かなのは今生きていることだけ。誰かを抱きしめたいのではなく、抱きしめる自分の存在を相手を通して確認したいだけなのかもしれない。

冒頭からカップルの別れ。恋だけでなく芝居や会社、大事なものを登場人物は次々と捨てる。すべては関係が解消し精算する方向に向かう。バラバラの彼らを唯一繋ぎとめ、求心しているのがマコト。もうすぐこの世から消え去るという彼女の物語に本当は孤独な自分を重ねる。嘘の死を予言する彼女を赦すことで、自分の不安を自覚する。誰もが不安で孤独、自分に確信など持てない、マコトはその代償に過ぎない。彼女の幻想に頼らず、引力を脱した時、ナオのように新たな道は拓がる。いつか、皆それぞれの道を。


キーワード
■自殺
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