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パフォーマー
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会場
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公演日
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ちょっぴり教訓とたっぷり笑いの破壊力 |
西尾雅 |
活字メディアで取り上げられること少ないババロワの実は隠れファン。思い切り笑わせ、観劇後に何も残さない爽快感。日常の疲れをほぐす癒しスポットもしくは演劇界のオアシス。関西人のサービス精神を発揮する出たがり役者の乱舞は中島らもが率い、笑殺軍団を名乗った頃のリリパット・アーミーをほうふつ。今回は「恋に落ちる」をテーマに劇団らしからぬメッセージも少々。でもお馬鹿コント集団の本質は隠しようもないのが何ともステキ。タイトル「よそいき」は倦怠期の同棲カップルが、恋人の外出スタイルに抱いた不審を象徴。彼女の浮気を疑い、カップリングパーティに出席すると知っていよいよあせり、自分もパーティ会場にもぐりこんでのドタバタの一幕。出席者さまざまの人物描写が笑わせる。子持ちバツイチのコスプレ女、面と向かっては話ができないオタク、カモと見た女に次々コナかけるパーティ荒らし、周りを気にせずわが道を行く一直線男、常連の淋しい女エトセトラ。疑わしい彼女の行動は、実はカップル誕生率を上げるための雇われバイトとわかり、2人は仲直り。他に意外なカップルも生まれるハッピーエンド。以上のエピソードすべてが主宰・高瀬扮する博士の研究発表というのがオチ。グータラ作家志望の主人公はどこか作者本人を思わせ、執筆中の恋愛ドラマも劇中劇で演じられる二重三重の趣向。意外と重層の構造だが、畳みかけるギャグのベタさとストーリーの素早さが小気味いい。一緒にいるとかえって相手が見えない。親しき仲こそちょっと「よそいき」してリフレッシュ。そんな教訓もご愛嬌だが、最大の見どころは高瀬が若手の村田に仕掛ける強烈なアドリブと美人なのにここまで表情を崩していいのかと思う向田の破壊力にある。とりわけチケットノルマの親戚動員や貧乏、劇団内恋愛など演劇人の日常を笑い飛ばす自虐ネタに脱帽。
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