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スタッフに花を、衣装に光を 西尾雅
タイトルからわかるように、今回インディペンデントシアターがプロデュースしたのは芝居ではなくファッションショー。昨年夏は劇場を和室に改造、畳敷きがそのまま舞台と客席を兼ねる画期的な美術「極(きわみ)」で、居間にいながら芝居を観る錯覚に陥らせた。特筆すべきは、同じ舞台を使った各劇団競作のコンペ方式。観客アンケートで評価の高い劇団が、最後に再演できるのがご褒美。優劣を争う態を装うが、同じ土俵で競う楽しさの方がより強く感じられた。

今年は昨年オープンした劇場セカンドをファッションショー会場に変身(「極」は旧いインディペンデントシアター)。モデルが往復する通路を縦に長く渡し、両サイドを客席が挟む。通路中央部で幅を広げ、その四角いステージ部分でモデルが交差し、並び、アクトを行なう。

「極」もそうだが、普段の芝居とまったく違う美術建て込みに驚く(美術装置:西本卓也)。元々倉庫だった空間をファッションショー会場に染め上げて、まるでニューヨークのロフトのよう(行ったことないけど)。ステージ上にオブジェ(空間装置:はしのちなつ)が吊られ、そこにデザイナーを紹介するCG合成タイトルが真下から映し出されるのもおしゃれ(映像・空間プラン:T.A.)。

5人の舞台衣装デザイナーが15分の持ち時間で順番にショーを行い、最後に共通のテーマ「神曲」で一同に会する。作家それぞれの個性を強く感じるが、少女が童話を読む中、本の登場人物が仮面をつけて乱舞する植田昇明(シアターシンクタンク万化)と先日HEP HALLで2本立て公演したばかりのピースピット「トラブルタウン」シリーズ(「ゴールド・バンバン!!」「グーグー・ムーチョ!!」)の番外編「Dr.BONES」を末満健一演出で披露したヨダミカが目を引く。劇創ト社も手がけるヨダミカはポップやキッチュが得意、ダンサブルに動きまわるトラブルタウン住人の衣装が派手な照明に似合う。が、「神曲」で一転シックでゴージャスなウェディングドレスを見せ、幅広いセンスを印象づける。

今回のショーであらためて思うのは、普段の観劇で意識することの少ないスタッフワークの大切さ。まず役者、それから脚本演出に注目することはあるが、衣装、照明、音響、装置などスタッフワークに観客の目が行き届かない事実。裏方の緊密さ、奥深さに焦点を当てる劇場のひとひねり企画に拍手!!

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