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新春の能楽 松岡永子
 やっぱりお正月は翁。なんといってもめでたい。年のはじめにはたしかに神さまが来ておられるのだと思えるんだよね—と、考える人が多いのか、能楽堂は補助席も出る盛況。3日には、仙人たちが餅つきをする『餅の風流』という珍しい演目があったのだが、来られなかった。
 今日4日は宗家観世清和氏による『翁』。メリハリのきいた、すっきりとした翁だった。

 翁は衣装が目に楽しい。他の舞台では黒っぽい紋付き袴の囃子方も、色とりどりの素襖(すおう)を着ている。頭にはそれぞれの烏帽子。全員が並んだところで、まず深々と一礼。ゆったりとおおどかな、他では見られない、礼。

 翁にはこれといったストーリーはない。謡も呪文のようで、いくつもの解釈がある。白い翁が舞い、黒い翁が舞う。
 白い翁は天の神で、黒い翁は地の神なのだと思う。とても個人的な感覚なのだが、白い翁が舞台の端で立ち止まるとき、ふと、どうしてここまで来てしまったんだろうと寂しく感じている、宇宙を想っている感じがするのだ。
 黒い翁は大地を踏みしめ揺り起こす。大鼓が、演奏しながら後ろから走り込んでくる型ははじめて見た。

 狂言は『舟渡婿』。
 はじめて会う舅へと酒を土産に持っていく婿。途中乗った舟の船頭が、船を転覆させるぞと脅してむりやり酒を振る舞わせる。到着すると、実はその船頭が舅。気まずくなった二人は妙に芝居がかって言葉を交わす。

『鞍馬天狗』
 これは3〜10歳くらいの子どもたちが稚児役で何人も出てくるので、それだけで舞台は華やか。

 平家全盛の頃。勉強のため鞍馬山にあずけられている稚児たちも平家の子どもたちがほとんど。その中にいて、源氏の牛若丸はひとりぼっち。同情した大天狗(天狗も孤独なようだから共感したのだろう)は牛若丸に武芸を教える。

 白い髪に白い衣の大天狗は長い年月を経てきた貫禄を感じさせる。稚児役の子どもたちは立っているだけで、がんばってるなあ可愛いなあと思う。実際、子どもがあれだけじっとしているのは、かなりがんばっているのだろう。
 囃子方はベテランぞろいで充分な音量が雄壮なのだが、なんだかとっても艶っぽかった。

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