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パフォーマー
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会場
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公演日
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女性パワー全開の爽快さ |
西尾雅 |
結成10年で第9回公演、ほぼ年1回の劇団のマイペースに好感。女優中心の劇団らしく女性ならではのシチュエーション、おしゃべり口調、変身コスプレ満載。身近に女性の実態を垣間見られて男性客は楽しめる仕掛け。むろん作品の発想、感覚は女性客にも受け入れられるはず。自分たちが楽しいことをやる、その姿勢に降参。短編3本の連作。舞台には登場しないイケメン男性がウワサの的となって3篇をつなぐ。高級外車に乗る彼をめぐる女たちのつばぜり合いを活写して、お馬鹿な狂騒を自分たちで笑い飛ばす。結果、男に振り回される女の弱さよりたくましさが印象に残る。生き生きした等身大の彼女らが魅力。1話は序、駅のホームにて。外車のカレと待ち合わせ中の典子とひと目ぼれ男性をストーカーして待ち受ける友人ユカコ(三山久美)の会話。そこへユカコの知り合いの麻理子が登場。典子はデートキャンセルの連絡に怒るが、その理由が麻理子と気づく。スナック経営の麻里子(いなだしくこ)は2人よりかなり年長だが、麻里子が待ち合わせ中の店の得意客とは当のカレ。カレの二股、三角関係がわかって争うはめに。見どころはカレに電話中のぶりっ子と、ライバルには喧嘩腰の典子(楠瀬アキ)の豹変ぶり。2話の舞台は会社内の女性トイレ、これも男性には未知の世界。最近でこそ歯磨きする男性も多いが基本的に男性はトイレを排泄の場としか思わない。大小の差は男性には明確で、ボックスに入れば大と決まっている。が、女性の場合は大、小、生理いずれかわからない。というか洗面前での化粧、いや本作のように雑談が主たる目的ということもあり得る。そして女性同士でも大での使用はけっこう気まずいものと初めて知る。で、腹痛に見舞われたOLがボックスに駆け込むに駆け込めない苦しい状況を縦軸に、同僚3人がぶつかる四角関係を横軸に展開。ここは例の外車君の勤務先、体調崩す涼子(餅米雅代)は彼と同期の仲。彼の教育係だった先輩の真知子(KIMIYO)や新入社員のエリカ(大野恵子)が彼に接近しようと涼子に仲介を求める。ほとんど生理的限界、それどころではない涼子の困惑。彼と付き合っていたのは実は私と白状も出来ず、冷や汗が増す。仕事出来ずとも甘え上手な後輩、お局様の先輩に挟まれて脂汗流す涼子。三者三様の駆け引きをリアルな会話で綴る。いっけん楽しい女性のおしゃべりは、実は一瞬も息が抜けない戦いの場。すべてが収斂する3話は、外車君が段取りした新規取引先との接待編。現場に来られない彼の代理として上司の課長と真知子がお相手するはめに。用意されていたのは麻里子の店、しかもホステス全員コスプレの夜。とまどいながら課長は話をつなぐが当の接待相手は乗ってこず、仕事の件はズレまくる。が、同性愛者らしい相手は、課長をいたくお気に入り。勘違いが重なって、2人は接待の二次会へ?1話と3話の冒頭にしげやん振付のダンスが披露される。とりわけ後半、ナース、チャイナドレス、メイド、男装マジシャンに扮したコスプレ乱舞は、下町風のゴージャス感たっぷり。ラストは、新たなカレ(やはり外車派)を追って来た典子が加わわっての大騒ぎ。店内上を下への取っ組み合いは南河内万歳一座の肉弾戦をほうふつ。コスプレそして女子プロレスのノリで女優は皆ストレス解消!? 女性同士の歯に衣着せぬバトルや、狙う男をストーカーし、落すためにはミエミエのぶりっ子もいとわない徹底ぶり。露悪に近い自己描写に却って女性への尊敬が増す。そのたくましさ、生命力は産む性だからか。逆に男性のやさしさ、ふがいなさにがっかり。あやしい麻里子の店でしか癒されることのないカレたち、同性で慰めあう彼らには同情しかない。話ごとに左から右へ移動して場面転換するイラストの背景や縦のスクリーンがよく出来ている(装置:堀容子)。駅のゴミ箱やカウンターに転用可能な大道具もシンプルでわかりやすい。受付や待合に使われる劇場1階下の空き室で子供が遊べる配慮は親切。
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