log osaka web magazine index
WHAT'S CCC
PROFILE
HOW TO
INFORMATION
公演タイトル
パフォーマー
会場
スタッフ・キャスト情報
キーワード検索

条件追加
and or
全文検索
公演日



検索条件をリセット
キノコ狩りで真っ白な幸せ、見っけ 西尾雅
週末2週間に渡ったダンスパフォーマンスの饗宴「びわ湖ホール夏のフェスティバル2003」大トリ飾るはキノコの新作。開演時刻に大ホール入口に集まる観客はロビーのカフェに注目。中央のテーブル、既に席についてるメンバー3人、びわ湖見渡せる全面窓ガラスの向こうから、おトモダチ見つけ手を振って登場の残りメンバー。合流したキノコ全員、いっけんカフェでくつろぐフツーの女のコ。しばし、お話に興じ笑い合ったり。見つめる観客集団やカフェのお客さん(関係者?)が異様。が、キノコたちは準備体操っぽい動きを見せるや、すぐにフロアで踊り出す。テーブルや椅子に回り込み、飛び乗る軽快な動き。楽しい会話の延長線上に身体が動き出すという印象。軽やかさと楽しさが笑顔にはじける。カフェを飛び出し、ホール入口手前ロビーに集まる観客の輪の中でリズムを刻む。間近に見るせいか、動きの同調性より、個性を強く感じる。円の動きと輪を横切るパートナー交換の直線移動が交錯、パステルカラーのミニスカートが翻る。

ここまでがサービス、チケットなしでも偶然居合わせれば無料で観ることできたお楽しみ。大ホール内へ駆け込んだ彼女たちを追って、観客もチケットをもぎられ中へ。びわ湖を背にしたホール自慢のホワイエ、その端から端を使って踊るキノコ。借景のびわ湖が一幅の絵巻。ん、劇場外の湖岸も何やら賑やか。いつの間に外に飛び出したのか、伊藤が水着でサザンをカラオケ熱唱、それに合わせてダンスするホワイエのキノコたち。ガラス越しに劇場内が観える外の無料観客?もやんやの喝采。

ここで、またもや移動。狭い通路を案内されて着いた所は何と楽屋。ひとりずつ鏡前が用意され、茶菓子までよばれる。本来なら舞台中継されるモニターに必修課題の振付が映る。観客参加型イベントだったことに気づき、あわてる。映像を真似て必死に身体をくねらす観客がおかしい(人ごとではない)。お尻フリフリや、両足パクパク、首グルグル、そのあと脱力〜っ。知合いには絶対見られたくない動き連発。いざ全員列をくんで恥を掻き捨てつつ、踊りながら(のたうつといった方が正解かも)移動、着いた所は何と大ホール舞台上、広いメイン舞台で、てんでに踊り狂う観客一同。もはや、盆踊りとも阿波踊りとも区別つかぬが、ひょっとしてここは天下のびわ湖ホール大ホールっすよねっ。関西屈指のオペラとコンテンポラリーダンスの聖域っすよね、これでいいのかあっ。いやあ、私もびわ湖ホールの舞台に立ったぞおっ、自慢自慢っ(間違えてるっ)!!

次は、舞台袖(普段は装置を出し入れするスペースで客席からは見えない)を使ったキノコの踊り、それを(今まで自分たちが踊っていた)舞台中央で見つめる観客。ベッドや椅子を多用したキノコお得意の振付だが、ぐんと洗練され大人の色香を漂わす。クラシックダンスの素養が完璧なピルエットにうかがえる。静謐で感情あふれるキノコの別の一面に陶然と浸る。

客席につくよう案内があり、客電が点いた客席を舞台上から見れば驚くほど広い。誰も座っていない客席からキノコへの熱い思いが放射されている錯覚に陥る。舞台から降りて自由に席につき、引き続き舞台のキノコを見守る観客。吊り下げられた白い風船(バルーンアート)の清楚が彼女らにふさわしく、広い舞台上をいっぱいに使って屈託がない。ソロダンスでも大ホールのプレッシャーを感じさせず、小柄なキノコがとても大きい。劇場すべてを使い切るツアーに、パフォーマーと観客と劇場一体となった幸せ感が満ちてくる。誘導のボランティアスタッフの尽力も忘れてはなるまい。みんなの心がひとつになって風船のように真っ白まあるい。

最後は、キノコも舞台から降りて来て、通路を走り回り、客席に立ち上がってダンス(危険だから良い子はマネしないでね)。いやあホントお疲れ、すっげえ楽しい。キノコ狩りでトリップしちゃう。タンゴ、ジャズ、ワルツ、歌謡曲からクラシックまで選曲も振付も自在のキノコのエンディングが「また逢う日まで」っても泣かせ。

キーワード
■パフォーマンス
DATA

TOP > CULTURE CRITIC CLIP > キノコ狩りで真っ白な幸せ、見っけ

Copyright (c) log All Rights Reserved.