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変わらないシニカルな視線 西尾雅
10年ぶりの公演というのに懐かしさなどみじんも感じさせないのは皮肉な視点がまるで変わっていないから。新ホールのオープンを飾る演劇祭の一翼をになう目出度さとも無縁、故林ワールドの暴走ぶりはさらに加速しており、昔と同様にたちまち私を虜にする。

前回公演「早過ぎた半袖」(97年4月)のOMSより会場は広くなり、装置のビジュアル化も進んだもののシンプルな場面設定はそのまま、早いテンポでくり出される短いコント集というスタンスは不変。ちなみに、MONOはこの年「ー初恋」「赤い薬」などを上演しており、土田英生が99年「その鉄塔に男たちはいるという」でOMS戯曲賞大賞を受賞するまで、ガバメント・オブ・ドッグス(GOD)やMONOのファンもまだ限られていたように思う。

当時のメンバーから西山智樹が抜けたが、再結成?の5人の容貌はまるで変わらない。その中でも注目は、久しぶりに舞台で見るこの2人。体型どおりの大らかな癒しを振りまくエディ・B・アッチャマンと、鋭どいツッコミを放つも、気づかぬ相手のせいで解説に終始せざるを得ないジレンマを抱える犬飼若博だ。

とりわけ、公開番組収録をめちゃくちゃにする小生意気であがり症の少年や大声でおせっかい焼く大阪のおばちゃんなど年齢や性別を超越した役でエディは強烈な記憶を残す。仕事はまったく出来ないが異常に明るいムードメーカーもはまり役(というよりアテ書きだ)。

祝われる当人と世話役幹事の立場が逆転する土田と水沼の祝賀会コントでは、友情のあやうさを同じ劇団員同士、相手を知り尽くした阿吽の呼吸で絶妙の空気を醸し出す。

すべての作品に通低するのは、世間を斜め読みする故林の性。仲間内の親睦会でも仕事癖が抜けず、テーブルや椅子をチェックし飲み物を運ぶボーイをガードしてしまうSPの姿は笑えるが、それは身辺すべてをネタにする作家・故林自身の宿業をも映し出す。つまり自分を人間を、その愚かさを徹底して笑い飛ばす。その強靭さが創作の源なのだ。

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