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コスモス博士のやさしい音楽 松岡永子
 恋人を亡くし、曲を作ることもピアノを弾くこともできなくなった若い音楽家。彼は恋人の故郷を訪ね、彼女の卒業した高校を訪れる。コーラス部だった彼女の後輩・五人の女子生徒たちは、一ヶ月後の文化祭のためにはじめてのオリジナル曲を作ろうとしている。
 部室には昔のコーラス部員たちが作った曲の楽譜や詞が残されている。
 部室で音楽家と部員たちは何日かの同じ時間を過ごす。音楽をやめようとしている彼のために、コーラス部員たちは、昔恋人が書いた詞を探し出し曲をつけてプレゼントする。

 ストレートな物語を、奇をてらうことなく見せる。端整なまじめさが素直に感動を誘う。
 それは女子四人による二部合唱に象徴されていて、必要以上にひねったり技巧的だったりしない。素直でうつくしい。
 今どきの高校生にしては清楚にすぎる気もするが、女の子たちの元気さはほほえましい。
 文化祭での発表が成功するかどうか、あこがれの先輩につきあっている人がいるかどうかが、世界のすべてを占めるような大問題だったころが確かにあったなあと思う。
 派手さはないが、ひとりひとりの人物造形もしっかりしている。たとえば他の生徒のように他人と近い距離でのつきあいをしないアニメオタクの女の子は、合唱のときも少し引いた姿勢で立っている。

 演劇部卒業生による劇団。滋賀県外での公演ははじめてらしい。初々しくて清潔感のある舞台。

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